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環境への技術開発でF1撤退って・・・“ホンダの技術陣の層が薄いのか”って驚いちゃうんじゃない?【赤井邦彦氏に聞く】

2020年10月29日 11時06分

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赤井邦彦氏

赤井邦彦氏

 ホンダが2021シーズンを最後にF1から撤退すると発表して間もなく4週間。モータースポーツ専門サイト、モータースポーツドットコム日本語版の編集長を務めるF1報道の重鎮、赤井邦彦氏(69)が取材に応じ、ホンダに対する風当たりについて率直な意見を語った。
  ◇  ◇  ◇
 ―ホンダのF1撤退の決定についてご意見を
 赤井氏「世の中には、なきゃいけないものってのがある。皆が意識しなくてもそこにあるのが当たり前だというのが・・・。ホンダのF1はそうではなかったか。あることに意味がある。活動していることに意味がある。それをやめたり、始めたりというのは・・・。あまりそういうことは好きじゃない」
 ―F1を代名詞にしている日本のメーカーだが
 「ホンダにとってF1がどういう意味を持っているのか最近はよく分からなくて。パブリシティーになっているのか、ブランドイメージが上がっているのか、技術が身に付いて、ちゃんとその技術を使っているのか。よく分からない。それはホンダがしっかり発表していないからでもあるが」
 ―撤退の理由はF1の人材を温室効果ガス排出を軽減する「カーボンニュートラル実現」に振り向けるということだった
 「ホンダは世の中がどう思っているか本当に分析しているのだろうか。
やめるかやめないかは彼らの勝手だけど、分析していれば、ちゃんとその理由が言えるはず。二酸化炭素ゼロなどの環境問題の話にくっつけたりしていたけど、他のメーカーだってそういう話はしている。だから、F1をやめるための理由付けを探していたんだろうけどね」
 ―ホンダは四輪事業の売り上げが落ちていた。年間160億円近くかかるF1の活動予算は目をつけられやすかった
 「確かに(F1は)金がかかる。金がかかると経営が悪くなるので、少し(環境問題への)技術開発に回すからとはっきり言えばいいのに、金のことはあまり言わない」
 ―F1プロジェクトの全てをたたんでしまうことになるが
 「それほどホンダの技術陣の層が薄いのかって驚いちゃうんじゃない? 環境に対する技術開発に全てを持っていくことが、F1はやめないといけないぐらいというのはおかしくない? 5人や6人でやっているわけじゃなくて何千人がやっているわけだから。個人の誰をどこにもっていくかとかではなくて、全体的にリソース(資源)がなんだかんだって説明している。お金のリソースがないのは分かるけど、技術の方は薄いというわけじゃない。そんなメーカーの車だったら買わないでしょ? マイナスイメージがついたのでは? もったいない」
 ―第2期、3期と比べてホンダF1の現場の雰囲気に違いは?
 「第2期と比べると、だんだんと上からの規制や締め付けが厳しくなったり、知らないうちに上に忖度(そんたく)する人が出てきたりしていた。第2期は総監督だった桜井(淑敏)さんや後藤(治)さんとかオープンで、F1でやっている力が見えた。若い人も、年寄りもトップも下の人も個人の名前がいっぱい出てくるような雰囲気があって、個々の力を一生懸命に発揮して頑張ってやっていた。それがだんだんと会社の経営(が色濃く見えるような組織)みたいになってきた。皆がサラリーマンになったらF1はできない」
 ―第3期は
 「第3期は若いエンジニアに(メディアに)しゃべらせなかったりしていて、取材していると若手が萎縮しているようにみえた。統制が取れているとかいうかもしれないけど、その時期からホンダは変わってきていたのではないか。第4期は長谷川(祐介)さんや田辺(豊治)さんが現場のリーダーになって、少し元に戻った感じはしたが」
 ―最近のF1はパワーユニットとか技術やルールが難しいという声もある
 「昔からルールはあった。リアタイヤの幅が何センチとか。でも、昔はどうでも良かった。勝っただの、負けただの、表面的なものが面白かった。メディアはルールが変わると、それをこと細かく書いちゃう。読者やファンはそれをしっかりと読もうとする。細かいところに目が行くから(ルールを理解するだけで)めんどくさくなったり、分からなくなったりするのではないか」
 ―メルセデスのルイス・ハミルトンが圧勝しているとレースがつまらないと感じる人もいる
 「ハミルトンは300戦300勝してもおかしくないドライバーだと思っている。強い人は強い。いつもあいつが勝つからおもしろくないという人もいるかもしれないけど、一方で負けちゃだめだ、記録を伸ばせという人もいる。今のF1だって僕はきらいじゃない」
 ―ホンダはモータースポーツの活動は続けると宣言しているが
 「看板がなくなっちゃったよね。パワーユニットだけ残して無限でやるという話もあったが、喜ぶのはエンジンもらうチームだけ。(撤退発表後はホンダF1に対する世間の)熱があっという間に冷めた気がする。昔はホンダがF1をやめると言ったら、泣き叫んだりしたファンもいたし、メディアでも泣いていたやつがいた。今回はそういうのがない。皆が冷静になっているといえば、そうかもしれないが」

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