「鉄路」が届けた大正の時刻表 写真展 西脇さんに「同級生」贈る

2020年10月29日 05時00分 (10月29日 09時53分更新)
岩本良恵さん(左)から西脇恵さんに贈られた約100年前の金沢駅時刻表=金沢市寺町で

岩本良恵さん(左)から西脇恵さんに贈られた約100年前の金沢駅時刻表=金沢市寺町で

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金沢駅用、亡き夫“念願”公開へ


 金沢市寺町の主婦岩本良恵さん(81)が、大切に保管していた約百年前の金沢駅の時刻表を、鉄道友の会北陸支部長の西脇恵(めぐむ)さん(81)=同市大桑町=に贈った。西脇さんは中日新聞北陸本社(同市駅西本町)で開催中の写真展「よみがえる記憶 北陸の鉄路」の撮影者で、写真展が二人をつなぐきっかけになった。(泉竜太郎、写真も)
 時刻表は岩本さんの伯母が住んでいた同市池田町の古民家にあった。押し入れの戸の裏に貼ってあったものを夫常熙(つねひろ)さん=享年八十四=が一九七一(昭和四十六)年一月に見つけ、表装した。縦二七・五センチ、横四〇センチ。市内にあった「宮本人力車」の文字も見え、店が顧客に配ったと思われる。一九(大正八)年に改正された金沢駅の発車時刻が掲載され、兵庫県の明石駅や姫路駅に向かう直通列車が当時あったことも分かる。
 昨年二月に常熙さんが亡くなり、岩本さんは「興味のある人に引き継ぎたい」と思っていた。二十一日付の写真展開幕を伝える本紙記事で西脇さんを知り、「六十年も鉄道を撮り続けている人ならば」と譲ることを決めた。
 「貴重な物が残っていて感激した。人力車の文字に時代を感じる」と西脇さん。話を重ねるうち、二人が金沢大付属中の同級生だったことも分かり、お互いに「不思議な縁を感じる」と顔を見合わせた。
 金沢くらしの博物館の東條さやか学芸員(43)は「(同館で)明治、昭和の時刻表は収蔵しているが、大正の物は初めて見た」といい「金沢が戦災にあっていないから残った」と分析。一九年に金沢市内に路面電車が開業すると人力車は廃れたが「広告を出せるほど利用されていたことが分かる。泉鏡花が鉄道を利用していた時代で、遠い時代ながらも親しみが湧き、ロマンを感じる」と話す。
 時刻表は西脇さんがオーナーの鉄道ギャラリー「かがやき」(同市東力、午前十時〜午後五時、日祝休み)に展示する。岩本さんは「一番ありがたい形。公開したかった主人の思いもかなったと思う」と笑顔を見せていた。

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