対面で得る情報、減少 大学3年生の就活孤立化

2020年10月28日 05時00分 (10月28日 05時00分更新)
 2022年春入社に向けて、大学3年生が孤立化した就職活動を強いられている。コロナ禍によって対面で情報を得る機会が減ったためだ。10月以降、採用活動が本格化した企業も出てくる中、情報不足で不安な学生のために、気軽に情報共有する場をつくり始めた大学もある。 (成田はな)
 「対面で友人に会うまで就職活動の情報交換ができず孤立した」。そう話すのは愛知大文学部三年の冨田真穂さん(21)。コロナ禍で大学は前期がオンライン授業になり、立ち入り制限になった。就活しなければと思ったが「友人に進捗(しんちょく)状況を聞きづらく、インターネットで調べたが、結局何をすべきか分からなかった」と振り返る。
 五月中旬に友人と会い、インターンシップ(就業体験)に申し込んでいたことを知り、急いで就活情報サイトに登録。業界研究を始めた。六月上旬に大学のキャリア支援課が就活の日程などを説明する録画を見たが、周りの学生の質問が分からず心細かった。「友人に会わなかったらもっと孤立化し、出遅れていたかもしれない」と話す。
 就活情報を得る手段も変化している。就職情報会社「ディスコ」が十月に学生約千人に就活情報の入手先を聞いた調査では、前期の大学への立ち入り制限で、前年より友人や学内の就活イベントで情報を得たと回答した学生が減少した。一方、会員制交流サイト(SNS)を駆使して企業の口コミを調べたり、採用チームのLINEグループに参加して企業の選考情報を得たりする動きは広まっている。
 大学三年生の孤立化を防ぐため、大学も支援に乗り出した。名城大(名古屋市)のキャリアセンターには例年と比較して「眼鏡とコンタクトレンズはどちらがいいか」などの細かい相談が増えたという。
 同センターは、学生の情報共有の場にしてもらうため、今年初めて六月から週一、二回、昼食時に三十分間、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使って学年の壁を越えた交流会を開いている。チャット機能で質問を集め、職員の回答や、学生同士の意見で幅広い疑問を解決。これまでに十六回延べ約百人が参加した。同様の会は十月から愛知学院大(愛知県日進市)でも開いている。
 対面で情報を得ることが難しい場合、どう就活を進めればいいのか。就職情報会社「マイナビ」の高橋誠人(まこと)編集長は「今後もオンライン中心の就活になり、企業の公式サイトが主な情報源になる。他の学生と差をつけるために公式サイトで調べた後、ノートに競合他社との比較をまとめて自分なりの業界理解を深めてみては」と助言する。

「情報足りず不安」5割以上

 大学四年生の就職活動は途中からコロナ禍の影響を受けたが、三年生は就職説明会や就業体験などの出だしから振り回されている。
 「ディスコ」の別の調査では、五割以上の学生が例年と比べて「就活に関する情報不足」を不安に感じている。前期に予定していた学内説明会は中止や延期。オンライン開催でも質問できる時間が限られた例もあり、情報を得にくい学生の不安が浮き彫りになった。
 同社担当者は「選考のオンライン化は今後も続き、面接回数やスケジュールが変わる企業もある。先輩の情報が参考にならず、不安に感じるのでは」と推し量る。
 一方で、コロナ禍で企業側にアピールする経験を奪われた学生もいる。前期はオンライン授業で大学に通えず、ゼミや部活動などが制限されたからだ。調査では、面接で企業側に話す「自己PR」や「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」の材料不足への懸念も見られた。

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