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知ってる?  ヘルプマーク 理解促すバッジ 乳がん女性販売

2020年10月27日 05時00分 (10月27日 12時39分更新)

さまざまな動物の絵にメッセージを添えたバッジ


 難病や精神疾患など外見からは分かりにくいハンディがある人への援助を促すヘルプマーク。進行性の乳がん患者で、若年がん患者の会「くまの間(ま)」を運営する加藤那津さん(41)=名古屋市緑区=は九月から、ヘルプマークに付けて使うバッジの販売を始めた。動物の絵に、助けを求めるメッセージが添えられている。加藤さんは「マークの意味を広く知ってほしい」と話す。 (編集委員・安藤明夫)

外見から分かりにくい病気援助を 

 名付けて「見えないつらさバッジ」。外見では気付きにくい内部障害などを意味している。アルミ製で直径約四センチ。「親しみが持てるように」とあしらったクマやウサギ、犬、猫、パンダの絵は、加藤さんが描いた。「助けが必要です」「通院治療中です」「見えないかも知れないないけど内部障害があります」といった三種類の文言が入っている。

「ヘルプマークと一緒に使って」とバッジを考案した加藤那津さん=名古屋市内で

 赤地に白十字とハートのヘルプマークは、縦八・五センチ、横五・五センチ。二〇一二年に東京都福祉保健局が作り、全国四十二の都道府県が取り入れている。当事者が目に見える場所に着けた際、周囲が席を譲ったり、「お困りですか」と声を掛けたりといった善意の輪が広がることが期待される。基本的には、必要な人が各自治体に申し出れば、氏名や連絡先、必要な援助などを書き込めるシールとともに無料で受け取れる。
 認知度は少しずつ高まっているが、存在を知らない人も多い。加藤さんがバッジを考えたのも「マークになかなか気付いてもらえない」から。七年前から外出時はいつも着けているが、電車で席を譲ってもらったのは三回だけだ。「くまの間」の仲間に聞いても「席を代わってもらったことはない」「地方ではまだまだ」といった声が多かった。
 乳がんが分かったのは三十一歳。右乳房の温存手術を受けたが、三十四歳で再発し、全摘した。「くまの間」をつくって間もない三十七歳の時には肝臓への多発転移が見つかった。闘病を続ける中でのモットーは「動けるうちに行きたい所へ行き、会いたい人に会う」こと。趣味の旅行に山登り、米国の若年性乳がん患者団体のサミットへの参加などどんどん外に出ている。
 一見元気だが、実は抗がん剤の副作用で強いだるさを覚えることもしばしば。今春、大学職員として再就職を果たしたが、通勤の負担は予想以上。十月いっぱいで退職することになった。ただ、そうした体の不調も外見では分からない。電車のシルバーシートに座っていると「若いのに」と冷ややかに見られることも。万一、外出中に意識を失い、心臓マッサージをされることにでもなれば大変だ。肩口に埋め込んだ点滴専用の挿入口、CVポートが破損する恐れがある。
 バッジはヘルプマークに添え、一緒に使う。「例えば、電車でかばんに着けて立っていれば、ちょうど座っている人の目の高さになって視界に入る」とにっこり。文字が小さいのが難点だが、「『あれ、何だろう?』と関心を持ってもらうことが第一歩」と言う。
 先駆けとなった都は、リーフレットや動画を作って普及に努めているが、今でも「『席に座りたいからと悪用しているのでは?』といった声もある」と指摘する。加藤さんは、どういう人が持っているか、どういった配慮が必要かなどを、より広く知ってもらうための手段をさらに増やしていく予定だ。
 ◇ 
 バッジは一個五百円。手作り品の通信販売サイト「minne(ミンネ)」で注文を受け付けている。サイトに入ったら作家名「natsukuma72」で検索。

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