世の中ナニが当たるか分からない…冠婚葬祭扱う老舗がまさかの動物カフェ参入 手探りスタート、「はなびちゃん」とは出張も

2020年2月16日 11時39分

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マネジャー杉山優さんとよく出張に連れ立つはなびちゃん

マネジャー杉山優さんとよく出張に連れ立つはなびちゃん

  • マネジャー杉山優さんとよく出張に連れ立つはなびちゃん
  • 3階に店が入るビル入り口で道行く人の目をとらえる看板

【現代ハリネズミ事情】

 お気に入りに一票を投じる「総選挙」などで、ハリネズミ文化の普及をはかる専門カフェ「ハリーウッド」(名古屋市中区)。親会社は「ザ・グランドティアラ」「愛昇殿」を経営する「レクスト」(同)だ。「人と人の出会いだけでなく、動物と人の出会いも演出したい」と新規事業を模索し、異業種に参入した。苦しいスタート期を乗り越え、新たな出会い事業を軌道に乗せた。
 オープンは2018年3月。会社の新規事業募集に、結婚相談担当のスタッフ(52)が応募した。東京ではハリネズミがブームで、「こんな動物カフェがあるんだ」。本業の傍ら、事業計画をまとめ、自宅でハリネズミを飼い、生態を観察した。
 レクストは冠婚葬祭に付随するホテルやカフェは経営しているが、動物を扱うのは初めて。「スタッフが集まらなければどうする」と心配する会社側に「息子たちに手伝わせる」。同僚の熱意に動かされたのが現マネジャーの杉山優さん(51)。結婚相談業務の合間に、融資相談で銀行を訪れ、店舗スペースの確保に奔走。においや脱出を心配され、入居先確保は難航した。ハリネズミはほとんどにおわないと訴え、ようやく矢場町のビルに行き着いた。

「こつこつした仕事の大切さ」大阪に2号店も

 さらに1週間後。ビル外の看板を大学生が撮影して「ハリネズミカフェができた」とツイート。1万アクセスを集め、杉山さんらは「何だこれ」。予約だけで50、60人、開店前には毎朝20、30人が待ち列をつくり、来店者は連日100人に急増。多い時には1日150人を迎えた。
 「半年間は毎日、へとへとでした」。同僚スタッフは本業に戻らねばならず、店は杉山さんに託された。隣の約50平方も借り、今は大学生らアルバイト15人と40匹に増えたハリネズミが交代で客を迎える。客足は落ち着き、平日は1日20人、週末は80人ほど。ゆったりと触れ合えるようになった。
 杉山さんは動物が苦手だったが、今はエプロン姿で歩き回り、ハリネズミとたわむれるカップルに目を細める。遠出でよく連れ立つのは2歳の女の子、はなびちゃん。触っても嫌がらず、写真写りがいい。
 初期投資は3カ月で回収。今は子ども料金を設け、家族連れの娯楽の場にもなっている。数十万円以上を扱う冠婚葬祭業とは単価が異なるが、「ヒットを重ねていく感じ。きちんと業務をこなさないと会社として成り立たない」と杉山さん。本業は扱い額が大きい分、マイナスも響く。結婚式の対象は独身者だけで、葬儀は先が読めない。ハリネズミカフェには業界の短所を補完する機能もある。「こつこつした仕事、売り上げの大切さがわかりました」。大阪・難波に2号店が誕生した。
 最初は先輩に引き寄せられたが、「何かを変えたい気持ちがあった」と杉山さん。カップルの幸せや一人客が癒やされている様子が目に見える形で確かめられる。異業種というより、幸せを導くプロが行き着いた店なのかもしれない。

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