<三河撮りある記>(43) 豊川・国道沿いの空自練習機
2020年10月25日 05時00分 (10月25日 11時47分更新)
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豊川市小坂井町の国道1号沿い。自動車の電気設備などを手がける伊藤電機工作所の敷地内に実物のジェット機体が飾られている。行き交う車をにらむ機体は、伊藤敏幸社長(50)がスクラップ状態から復元させたものだ。
機体は一九六〇年代に日本初のジェット練習機として四十六機生産された富士重工「T−1A」。後退翼を持つ二人乗りで、上空一万メートルを最速時は時速八百五十キロで飛ぶ。
工作所の機体は、航空自衛隊のパイロット養成課程で練習生が初めて搭乗する訓練機として、小牧基地(小牧市)、岐阜基地(岐阜県各務原市)などで計約二十年間使用されたという。二人乗りなのは前方に訓練生、後方に教官が乗るためだ。
退役後は遊園地の浜名湖パルパル(浜松市)で展示。その後、いったん浜松市内の個人の手に渡った。そして二十五年前、浜松の航空愛好家グループのメンバーだった伊藤さんは「機体が廃棄される」との情報を聞き付け、持ち主と交渉。全長約六メートルの機体の胴体の前半分を購入した。
譲り受けた当時、機体はあまり手入れされていなかったが、伊藤さんは車輪や風防ガラス、操縦かんや計器類などの部品を全国各地からかき集めて「修繕」。仕事で付き合いのある塗装業者や溶接業者にも協力してもらった。
前半分を購入した二年後。伊藤さんは別のT−1Aが千葉県習志野市で廃棄予定と情報を得て、その胴体の後ろ半分を買い取った。
「(合計で)高級車一台分くらいの額を使ったね」と伊藤さん。...
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