苦境 和楽器打開へ一手 金沢の店舗組合 武蔵で演奏体験会

2020年10月24日 05時00分 (10月24日 05時03分更新)
組合員(右)から琴の手ほどきを受ける観光客=金沢市のむさしクロスピアで

組合員(右)から琴の手ほどきを受ける観光客=金沢市のむさしクロスピアで

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コロナで販売減 新たな需要発掘狙う


 伝統息づく金沢で愛されてきた和楽器が、新型コロナウイルスで需要が減り窮地に立たされている。和楽器店でつくる「金沢邦楽器商組合」は、魅力を広めようと金沢市内で体験イベントを開き、新たな需要を発掘し、起死回生を図る。 (高橋雪花)
 ♪ポロロン−。二十三日、同市の武蔵交差点の地下道「むさしクロスピア」にみやびな音色が響いた。組合が企画した体験イベント。通り掛かった観光客や市民が組合員の手ほどきを受け、琴や三味線で「さくら」の演奏に挑戦した。
 旅行で来ていた東京都の会社員鐘ケ江文子さん(28)は三味線を弾いて「意外と長い。奏でるだけで癒やされる。邦楽への興味がもっと湧いた」と喜んだ。
 和楽器は、近年の需要低迷に加え、新型コロナによる演奏会の中止が相次ぎ、修理や新調の需要が減少。三味線の最大手メーカー「東京和楽器」(東京都)は一時、八月での廃業を決断。廃業の報道を受けて国内外から注文が相次いだため、年内は稼働する。
 「金沢素囃子(すばやし)」が受け継がれるなど、和楽器が盛んな金沢も例外ではない。「関屋楽器」では、一〜九月の売り上げが、前年同期に比べほぼ半減。県や国が緊急事態宣言を発令した四月は77%も落ち込んだ。新年度は学校や大学サークルでの楽器購入が無くなり、能登のキリコ祭りや、芸妓(げいぎ)のお座敷の中止でメンテナンスが減ったという。
 楽器職人への発注が無くなれば、廃業するなどして技術の継承も危ぶまれる。同店を運営する「関屋」の関屋英宗(ひでかず)社長(46)は「ただでさえ職人の後継者不足が問題となる中『この機会にやめようか』という声もある」と打ち明ける。
 関屋社長は「まずは楽器を触ってもらうことで邦楽文化のファンを増やしたい。その中から、実際に演奏する方が出てくれるとうれしい」と話した。
 イベントは市が主催する公共空間の活用事業「マチノバ・カナザワ」の一環。二十四日も同所で開かれる。時間は午前十時〜午後三時。

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