ねずみの予言 米食べ放題の蔵で火事だと大騒ぎ

2020年10月24日 05時00分 (10月24日 05時01分更新)
 昔、昔の話です。
 金指山のてっぺん(今の浜松市北区引佐町金指の辺り)の大金持ちのお屋敷に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
 お屋敷の米蔵は、いつ入ってもおいしいお米が山のように積み上げられていました。おかげで、二人は何不自由なく暮らすことができました。
 蔵にあふれる米は、ねずみにとってもありがたいごちそうです。お屋敷には、次から次へとお米が運ばれてくるため、ねずみは食べ放題です。
 ある日のことです。おばあさんが米蔵の中で猫を見つけました。
 「どこから迷い込んだのか。外に逃がしてあげよう」と近づくと、大きく育ったねずみでした。
 「おじいさん、米蔵のねずみが米を食べ過ぎたのか、猫のようになっている。ねずみ捕りをしかけようか」
 話を聞いたおじいさんは、おこぼれをねずみが食べても困らないと、にこにこ笑っていました。
 何日かたった夜のことです。誰もいないはずの米蔵で、がたがたと物音がしました。おばあさんが蔵の中に入ると、ねずみたちの話が聞こえてきました。
 「名残惜しいが、長いことお世話になったこのお屋敷とお別れしなければ」
 「おじいさん、おばあさんは気付いていないようだが、このままいて焼け死ぬわけにもいかん」
 「庭の木の鳥は、とっくに逃げ出していなくなった」

◆家人は聞き流し 屋敷全て丸焼け

 おばあさんは大慌てで「もうすぐ家が火事になると、ねずみが騒いでいる」と伝えましたが、おじいさんはねずみの話など気にしなくていいと、取り合ってくれません。
 二人は念のために火の元を確かめて布団に入ると、いつの間にか眠ってしまいました。
 しばらくすると、村人の怒鳴り声が聞こえました。
 「火事だ、早く逃げろ」
 二人は跳び起きて外を見ると、真っ赤に燃えた火が迫っています。何とか逃げることができたものの、米蔵だけでなくお屋敷全てが丸焼けになってしまいました。
 「ねずみがせっかく教えてくれたのに。話を真に受けて聞くべきだったな」
 おじいさんは、焼け落ちていく屋敷を見ながら、つぶやきました。

<もっと知りたい人へ>
参考文献:児童向け「いなさの昔ばなし」引佐町歴史と文化を守る会

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