今さら勝って何に…中日が「経験」より「勝ち癖」を重視する意味 星野監督が最も恐れたのも“負け犬精神” だった

2020年10月23日 11時17分

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DeNAに完封勝利し、大野雄(手前)迎える与田監督(中央)ら

DeNAに完封勝利し、大野雄(手前)迎える与田監督(中央)ら

  • DeNAに完封勝利し、大野雄(手前)迎える与田監督(中央)ら
 ドラゴンズの勢いが止まりません。ここ最近の試合で最も注目したのは20日のDeNA戦(ナゴヤドーム)。直前の広島戦で連勝が7で止まり、この試合で連敗するようなら元の姿に戻ってしまうのではと、ものすごく不安でした。
 ところが0―1で迎えた6回、円陣を組んで気勢を上げた直後の攻撃で阿部、ビシエドが連続適時打。さらに続く高橋の浅い右中間への飛球で、捕球した右翼手の体勢が悪いと見るや二走ビシエドが三塁を陥れてシエラの適時打につなげ、この回3得点。鮮やかすぎる逆転劇に、前述した不安は消え去りました。
 私がドラ番だった時にチームを率いていた星野仙一監督が、ことあるごとに口にしていたのは「負け犬精神の一掃」でした。チームが下位に沈んでいると、負けることが当たり前のようになってしまう。そうなったら監督やコーチが何を言っても無駄です。選手たちは必死に戦っているつもりかもしれないが、負けた時の悔しさやミスへの厳しさが薄れ、弱小チームに成り下がる。当時の星野監督は、そのようになることを最も恐れていました。
 確かに巨人が圧倒的な独走状態になってから始まったドラの快進撃に「今さら勝って何になるんだ」という声が出るのも分かります。ただ、スポーツを30年以上取材してきて、「勝ち癖」をつけることは監督にとって最優先するべき事項だと思っています。黄金期を築いたチームはみな、同じような経緯をたどっていました。また、そのようなチーム状態でなければ、有望な若手を引き上げても負け癖が染み付いたベンチのムードに流されて「自分の成績さえ良ければいい」という、間違った意識を持ってしまうかもしれません。
 残り試合がわずかとなったドラゴンズは、今季の順位がほぼ確定した時点で若手を積極的に起用して来季につなげていくことになるでしょう。クローザーのR・マルティネスが離脱する苦しい状況で、今後も何があるか分かりませんが、それまで選手の体調をしっかり管理しながら今の状態をキープし、コロナ禍にもかかわらず球場で応援してくれるファンの皆さんを最後まで喜ばせてほしい。そう願ってやみません。(ヘンリー鈴木)
 ◆ヘンリー鈴木(鈴木遍理) 東京中日スポーツ報道部長、東京新聞運動部長などを経て現東京中日スポーツ編集委員。これまでドラゴンズ、東京ヤクルトスワローズ、大リーグ、名古屋グランパス、ゴルフ、五輪などを担当。
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