85歳の楽しみは野球のTV観戦…「そんな記録を私がねぇ」中日・大野雄が掘り起こした64年前の投手

2020年10月23日 11時05分

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8回表2死二、三塁、代打楠本を空振り三振に仕留め、雄たけびを上げる大野雄

8回表2死二、三塁、代打楠本を空振り三振に仕留め、雄たけびを上げる大野雄

  • 8回表2死二、三塁、代打楠本を空振り三振に仕留め、雄たけびを上げる大野雄

渋谷真コラム・龍の背に乗って

◇22日 中日1―0DeNA(ナゴヤドーム)
 後輩に破られて、初めて自分がレコードホルダーだったと知った。
 「そうだったんですか? そんな記録を私がねえ。知らなかったし、当時も気にもしていなかったでしょうね」
 大矢根博臣さん。21歳だった1956年の真夏に、40イニング1/3連続無失点を打ち立てた。ご本人の記憶にはとどまっていなかった64年前の記録を、ひもときたい。
 快投のスタートは8月5日の国鉄戦(川崎)。4安打、わずか98球で完封した。中3日で巨人戦(中日)。1回2死で救援マウンドに立ち、最後まで投げきった。中2日で再び国鉄(同)を、さらに中3日で阪神(同)を連続完封。3日後の広島戦(同)の6回に失点して、ついにゼロ行進はストップした。
 この年20勝13敗、防御率1・53、21完投。目に留まるのは奪三振の少なさだ。記録をつくった5試合は、最多でも6。力ではなく、技と工夫で打者を料理した。
 「記録のことは覚えていませんが、シーズンのことならわかりますよ。調子が良かったですから。私はスピードが出なかったから、三振を取れなかったんです。その分、何かで活路を見いださないといけない。それがシュートだったんです」
 得意球は沈むシュート。当時はそんな呼び名はなかったが、大野雄が自在に操るツーシームである。「ゴロが多かったですね」。右肩に不安のあった大矢根さんは、少ない球数で打ち取る投球スタイルだった。無失点記録が止まった広島戦は、何と88球で完投勝利を飾っている。
 「今年は久しぶりに調子がいいですからね。大野も2年ほど前は勝てなかったけど、今はあの落ちる球がいい。あれを投げとけば、そう打たれることはありません」
 85歳。名古屋市内で穏やかに暮らす大矢根さんの楽しみが、テレビ観戦だ。実況アナウンサーが「大矢根」を連呼したこの日の喜びは、格別だったに違いない。

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