石垣保存 陰に職人技 「金沢城公園」まるで忍者 何の作業?
2020年10月23日 05時00分 (10月23日 10時40分更新)
測量前に除草 基礎データ収集
金沢城公園の石垣に忍び現る!? 思わずそう言いたくなるような画像五枚が「Your Scoop〜みんなの取材班(ユースク)」の「友だち」から寄せられた。「感動した」。そんな声も添えてあった。ヘルメットをかぶった作業着姿の人たちがロープにぶら下がり、石垣に何かを施している。画像に導かれ、現場を訪ねてみると、石垣の保存のために欠かせない作業だということが分かった。(榊原大騎)
秋晴れの二十日、金沢城公園(金沢市)の大手門口から入って内堀に向かうと、いた。作業員三人がそれぞれ二本のロープに支えられ、やすりで石垣に生えたコケを払っている。石垣の高さは十メートル近くある。
石川県金沢城調査研究所によると、作業は石垣の測量前にするクリーニング。測量は高い精度が求められ、小さい石やコケですら邪魔になるためそれらを手作業で取り除く必要がある。研究所が業務を測量会社に委託している。古くからある伝統的な手法というわけではないという。
測量の目的は何か。冨田和気夫副所長は「日常的に石垣をメンテナンスするための基礎データの収集」と話す。風雨にさらされる石垣は劣化しやすく、計画的な維持管理が重要。金沢城では年に一度のペースで各所を測量している。
基礎データは、非常時にも役立つ。二〇一六年の熊本地震では熊本城の石垣が崩れたが、記録がないために忠実に復元できなくなった箇所がある。そんな経緯もあり、データ収集の重要性が改めて見直されているのだという。
もう一つ、金沢城公園で進めているのが石垣そのものの情報収集だ。石垣にはさまざまなマーク、印が彫られていることがあり、それを調べることで歴史を知る手掛かりにもなる。
除草は今月いっぱい続く見込みで、測量は来年三月にかけて続く。ちなみに景観維持を目的とした除草作業も年に数回行われている。一度、石垣を伝って作業する“職人技”を眺めてみては。
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