「軽部」姓 謎解き明かす 鯖江・下新庄に集中 一族だけの念仏講  

2020年10月21日 05時00分 (10月21日 09時34分更新)
軽部姓について調べた研究成果が全国高校生歴史フォーラムで佳作に選ばれた軽部さん(左)と前田さん=福井市の福井南高校で

軽部姓について調べた研究成果が全国高校生歴史フォーラムで佳作に選ばれた軽部さん(左)と前田さん=福井市の福井南高校で

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 全国歴史フォーラム 福井南高生が入賞

 自分が住む鯖江市下新庄町に、「軽部」姓が多いのはなぜ? 福井南高校三年の軽部由菜(ゆいな)さん(17)が、こんな疑問を友人と一緒に解き明かした。軽部一族だけに伝わる念仏講に込める住民の思いも聞き取り、伝統行事に考えを巡らせた。研究成果は「全国高校生歴史フォーラム」(奈良大など主催)で佳作を受賞。北陸三県から初の入賞という快挙を達成した。 (籔下千晶)
 軽部姓は県内でも同町だけに集中しているという。軽部さんは夏休み前、学校でフォーラムのポスターを見つけ、以前から疑問に思っていた軽部姓について、仲の良い同級生の前田遥南(はるな)さん(18)と調べて応募することにした。
 軽部さんは地元の公民館長や祖母に話を聞いた。前田さんは古文書の研究やリポートのまとめを担当した。二人は資料から、江戸時代に「軽部」を名乗っていた強力な豪族が今の下新庄町にいたことから、明治時代に周囲の農民にも軽部姓が広がったと推測した。
 調べる過程で、軽部一族には地域コミュニティーを維持するための伝統行事「講」の一種、「軽部念仏講」が残っていることが分かった。軽部さんは「小さいころから知っていたので、珍しい文化とは思わなかった」と振り返る。
 軽部念仏講は、軽部家のみが参加でき、各家から当主らが一人ずつ集まって数時間にわたり念仏を唱えた後、一緒に食事をする行事。一八五五(安政二)年、軽部家の一人が出家したことから始まるとされ「念仏を唱えれば一族が未来永劫(えいごう)栄える」と伝わる。今でも各家の当番制で開かれている。
 若者には「田舎くさい」と受け入れられていない行事ながら、軽部さんは祖母らから「伝統をここで途絶えさせるわけにいかない」と聞いて、念仏講を伝承したい人がいることを知った。年々、参加する家が減っていることから、年二回だったのが今年から一回になり、念仏講を取り巻く状況は変化している。
 前田さんはリポートで「講は一族だけという閉鎖的な空間で行われているため、ひっそりと消えていくものが多い。軽部念仏講もその一途をたどろうとしている」と警鐘を鳴らし「現代に即した方法へと見直す必要がある」と結んだ。
 二人は九月、リポートをフォーラムの実行委に送付。今月五日に入賞の連絡を受けた。軽部さんは「自分の家の伝統を研究して、伝統を続けたい人と、そうでない人の思いを知った。古くさいと思っていた伝統行事に歩み寄れそうだ」と成果を話す。
 歴史フォーラムは二〇〇七(平成十九)年から、奈良大と奈良県が毎年開催。高校生に歴史研究の楽しさを実感してもらうのが狙いで、今年は全国八十校から百十四作品の応募があった。

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