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高校生の就活オンライン化、企業は手探り 学校環境整備が必要

2020年10月21日 05時00分 (10月21日 17時36分更新)
 来春卒業する高校生の採用選考が16日に始まった。コロナ禍のため大学生の就職活動で急速に進んだオンライン化の波は、高校生の就活にも及ぶ。ただ、明確なルールがないことや、サポートする学校の環境整備が不十分なことなどから歩みは慎重だ。(河原広明)
 「あれで『オンライン面接、解禁』と受け止めた」。そう話すのは、毎年百人前後の高校生を採用する全国チェーンの小売企業の担当者だ。念頭にあるのは、厚生労働省が八月に出した企業向けの「お願い」。面接について「対面での実施についてご理解、ご協力を」と求めつつ、オンライン活用時の留意点などを記していた。
 高校生の採用は学校やハローワークを通すのが一般的。オンライン面接を禁止するルールはないが、企業は学校やハローワークの反応を気にして、新たな取り組みに及び腰。同社の場合は会社説明会をオンライン化していたこともあり、応募者が多い首都圏と関西は対面で、それ以外の地域では初めてオンラインで面接を実施することにした。
 各地の店舗にオンラインの会場を設け、生徒に足を運んでもらう。慣れない形式でも生徒が持ち味を出せるように「店長と連携して丁寧に迎え入れ、対面と比べて不利益が生まれないように」と気を配る。
 一方、厚労省の「お願い」を「禁止」と理解し、オンラインで準備していた面接を対面に戻した企業も。同省担当者は「オンライン面接を禁止してはいないが、自宅や学校の通信環境、機器の状況はさまざまなので、できるだけ対面実施への協力を求めた」と話す。
 今年初めて職場見学をオンラインで実施したのは大丸松坂屋百貨店(東京)。採用担当者は「コロナに加え、先行する大学生の採用活動のオンライン化で手応えを感じていた」と話す。
 採用するのは、照明や空調など店舗のメンテナンスに携わる社員。数人の参加者に対し、一時間のスケジュールを組み、複数の職場をリレー中継するなど工夫を重ねた。担当者は「短時間で職場の雰囲気を伝えるのは難しいが、生徒も端末の操作に慣れていて、今後の可能性を感じた。より良い方法を検討していきたい」と語った。
 コロナ禍の中、手探りで始まった高校生就活のオンライン化。生徒を支える学校の環境整備や教員への支援が欠かせない。大学生の採用と比べて説明会や面接などの機会が少なく、企業側の経験の蓄積も課題だ。
 オンラインの職場見学を経験した愛知県立高校三年の男子生徒は「画面越しでは、自分がその会社で働く姿を想像するのが難しかった」。別の男子生徒が参加したオンライン見学は、参加者約二十人に採用担当者が一人で対応。「質疑応答で質問をうまく拾ってもらえなかった。人数が少ない方がもっと聞きたいことが聞けた」と振り返った。

職業決定の権利 支える社会に

 高校生就活に詳しいリクルートワークス研究所の古屋星斗(しょうと)研究員は「今後はオンラインと対面を組み合わせたハイブリッド化がポイント。『面接や職場見学は対面、説明会はオンライン』とか。生徒が自分の職業を決める権利を社会がどう支えるか、という観点からの議論が必要だ」と話す。
 この「ハイブリッド」を目指すのは金属熱処理会社のメタルヒート(愛知県安城市)。職場見学や面接は対面で実施し、より多くの生徒に自社の魅力を知ってもらおうと会社説明会のオンライン化を計画する。
 原薫取締役は、同社の求人に応募する生徒の多くが徒歩・自転車圏内に住む一方、面接で「運転免許を取って、入社後は車で通勤したい」と話すのを聞いた。それなら「初めから車で通える範囲で応募先の企業を探せば、もっと選択肢が増えるのに」と感じた。
 オンライン化は距離の壁を取り払い、遠く離れた生徒と企業がつながるきっかけになる。それは双方にとってプラスだ。原さんは自ら設立した就職支援団体で、地元企業などと連携したオンライン合同説明会の開催準備を進めている。

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