ITSEV(富山市) EV関連事業 脱石油 インドで挑戦

2020年10月20日 05時00分 (10月20日 05時00分更新)
最重点目標

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  • 昨年11月、インドで開いたワークショップで試作品を紹介した千葉一雄社長(左から4人目)と、インド工科大ハイデラバード校の教授ら=同大で(イッツイーブイ提供)

 約十三億の人口を抱え、著しい経済成長を続けるインド。その陰で都市部の大気汚染は深刻化し、二酸化炭素(CO2)排出量は世界三位だ。電気自動車(EV)関連事業のベンチャー「ITSEV(イッツイーブイ)」(富山市)は、高温多湿な環境下でも劣化しにくいリチウムイオン電池を開発し、インドでの現地生産を目指している。千葉一雄社長(69)は「再生可能エネルギーへの転換を進める上で、バッテリーは重要な技術。できることから一歩ずつやりたい」と意気込む。
 千葉社長は日産自動車の元エンジニア。スカイラインのほか、世界で初めてリチウムイオン電池を搭載したプレーリージョイEV(一九九七年)やルネッサEV(九八年)の開発に携わった。二〇〇六年に退社し、別会社で公共充電器や電動三輪車の開発を担った後、一六年にイッツイーブイを設立した。
 インドに目を向けたきっかけは七年ほど前。現地の自動車研究会に講師として招かれた。参加者と語り合う中で、EVのリチウムイオン電池を減らして低価格化し、急速充電して使いたいという意見が出た。だが夏場に四〇度を超える日も珍しくない現地では、熱に弱いリチウムイオン電池が劣化しやすいという課題があった。
 帰国後、リチウムイオン電池の材料を改良し、高温多湿な環境下での寿命を従来の約二倍に延ばすことに成功。東北大と、車向け電子部品などを手掛けるアールアンドスポーツディベロップメント(富山市)と提携し、試作品を製造した。
 一九年には国際協力機構(JICA)の「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に採択され、インド中南部のインド工科大ハイデラバード校で現地生産の構想を発表。教授や学生、バッテリー製造会社の社員が参加し、電動三輪車の試乗会も開いた。
 最も重視するSDGsの目標は(7)「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」。千葉社長は「インドは輸入総額の四分の一が石油で、それが国際収支の悪化や環境の問題を引き起こしている」と指摘。EVの普及を通じて「エネルギーの脱石油化にインパクトを与えられたら幸せ」と話す。
 今年九月には再びJICAの支援事業に選ばれ、今後、現地での実証実験や事業化に向けた取り組みを加速させる。千葉社長は「バッテリー事業者への技術移転や人材育成を考えているので、現地でやる気のある人とつながりたい」と願う。 (高本容平)

【SDGs】 「誰一人取り残さない」という考え方のもと、人種や性別、地域などを超えて地球上のみんながそろって幸せになることを目指す国連の目標。「貧困をなくそう」「すべての人に健康と福祉を」「人や国の不平等をなくそう」など17のテーマ別の目標がある。SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略。

【会社メモ】 日産自動車などでEV開発に携わった千葉一雄氏が、EVの技術開発や人材育成を目指して2016年に設立。本社は富山市向新庄町。東京都内に事務所、山梨県甲州市にテストコースがある。社員は7人。


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