完璧に乗った松山騎手 本番直行を主張した杉山師 腹の据わった若いコンビ【本城雅人コラム】

2020年10月19日 06時00分

このエントリーをはてなブックマークに追加
秋華賞を制したデアリングタクト

秋華賞を制したデアリングタクト

  • 秋華賞を制したデアリングタクト
◇ぱかぱか日和
 オークスから直行、外枠、しかもパドックではイレ込んでいたが、すべての心配が無用だった。馬の実力は違ったし、なによりも松山騎手が完璧に乗った。
 スタートして1コーナーまでが見事だった。京都内回りは、すべてのコーナーでゴチャつく危険性があるが、正面スタンド前、横に広がった前の馬群と、ひとかたまりになった後ろの馬群の間に、ぽつんと1頭だけデアリングタクトがいたのだ。この段階で最初の危険を回避した。
 けっして遅くないペースだったが、松山騎手は向正面からデアリングタクトのペースを上げていき、4コーナーでは先頭にとりついた。これも自信がなければできない意外に大胆な騎乗法である。早めに動いたせいで大外を回すロスもなかった。ゴールを過ぎて3本の指を出したのは、押し寄せていたプレッシャーから解放されたせいかもしれない。だが松山騎手でも緊張していたのか、そう思ってしまうほど腹の据わった騎乗だった。
 若いのに腹が据わっていたのは38歳の杉山晴調教師にも言える。オークス後にさまざまなプランが出ていた中で、秋華賞直行を主張したのが杉山晴調教師だという。最近は外厩施設の充実で本番直行も珍しくないが、三冠という目標があれば前哨戦を使うのが安全策だ。馬は調教より実戦の方がはるかに楽に仕上がる。だが使えば負けるリスクが生じる。
 いや無敗の女王を管理するトレーナーにそんな弱気な虫はいなかった。あくまでも三冠は通過点。この先、エリザベス女王杯、さらにその先の牡馬との対決まで見通した上の選択だろう。
 杉山晴師、松山騎手という若いコンビが誕生させた令和最初の牝馬三冠馬。彼らが奏でる名馬の組曲は、第1章を終えて次のステージへと移った。(作家)

関連キーワード

PR情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ