“F1撤退”ホンダ社内でも賛否分かれる 「ショック」の声の一方で海外からは「リーズナブル(納得がいく)」会見で説明
2020年10月16日 13時41分
ホンダが2021年シーズンを最後にF1から撤退すると発表したのを受け、同社でモータースポーツなどを担当する渡辺康治ブランド・コミュニケーション本部長が16日、リモートで記者会見し、社員や同社のディーラーの間でも撤退の賛否が分かれていることを明かした。
東京の本社内の反応と限定した上で「社内の反応は残念、ショックという声が大きかったと思うが、非常に『リーズナブル』という人たちも一方で多かった。モータースポーツが大好きな従業員が多いので、そこについてはショックという人が多かった」と説明。『リーズナブル』との表現については「理にかなった」「納得がいく」という意味で使ったもようだ。
国内外の販売店の反応については「(賛否は)両面だと思う。やはりF1をかなり活用され、鈴鹿に販売店さんをお連れするということもあるので、ホンダのF1活動、モータースポーツ活動に共感している方々はやはりショックということもありました。海外は冷静な意見が多く、どちらかというとリーズナブルという意見が多かった」とした。
2日に同社の八郷隆弘社長が会見した際に、F1撤退の理由については、温室効果を助長とする二酸化炭素の排出を抑えるカーボンフリー技術の開発のためにF1の技術力を集約させるためと明かされた。これについても渡辺本部長は「F1活動をやめるというよりは、F1活動に関わっている人たちを、経営判断として(新設された)『先進パワーユニット・エネルギー研究所』に振り向けたというのが撤退の理由」と補足説明した。
ホンダの首脳陣の間でも2015年に再参入したF1については継続、撤退の両方の意見があったが、最終的に撤退する方向で進んでいると提携するレッドブルレーシングに伝えたのは8月だったという。
かつては「ホンダはF1ありき」という思考が社内でも強く、「ホンダ・イコール・モータースポーツ。常にモータースポーツがホンダのブランドをつくってきた」と認めながらも、若者の自動車離れが進むに連れて社内を含めてF1に対する意識が徐々に変わってきているという。
「今の世の中全体としてのホンダのブランドの見られ方は少し変わってきているのは事実。ホンダに求めることは以前はレースが一番だったが、今は安全なクルマとか、優れた品質のクルマ、(ホンダ)ジェットと少しばらけてきている。ブランドとしては新たな軸をつくってそこをちゃんと世の中に伝えていかなければならない」
F1は活動を終了するものの、F1を目指す若手選手を支援するドライバー育成プログラムは継続する方針で、2021年に開催契約が切れるF1日本GP(鈴鹿)についても「ホンダ側としてモータースポーツ振興を踏まえながら鈴鹿サーキットと前向きに考えていきたい」と開催継続の可能性をにおわせた。
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