被災時計画 策定進まず 地震リスク低さ 自治体が企業誘致で強調も… 

2020年10月16日 05時00分 (10月16日 11時21分更新)
今後30年間に震度6弱以上の揺れに襲われる確率分布を示す「全国地震動予測地図」(2018年版)。濃い赤が「26%以上」=地震調査研究推進本部提供

今後30年間に震度6弱以上の揺れに襲われる確率分布を示す「全国地震動予測地図」(2018年版)。濃い赤が「26%以上」=地震調査研究推進本部提供

  • 今後30年間に震度6弱以上の揺れに襲われる確率分布を示す「全国地震動予測地図」(2018年版)。濃い赤が「26%以上」=地震調査研究推進本部提供

◇北陸 全国平均下回る


 北陸地方の自治体がほかの地域から企業を誘致する際、アピールするのは「地震リスクの低い北陸」だ。一方で、北陸三県では、企業が被災時の危機対応をまとめるBCP(事業継続計画)づくりは国から奨励されているものの、進んでいない。(阿部竹虎)
 「地震のリスクは、極めて小さいと予測されています」。石川県はホームページで地震調査研究推進本部の全国地震動予測地図を示し、企業に訴えかける。今後三十年に震度6弱以上の地震が起きる確率分布では関東、東海地方などに「26%以上」の濃い赤がみられるが、北陸に広がりはない。県に言わせれば「リスク分散の適地」なのだ。
 一九九〇年度以降の県外企業の誘致は九十二件。北陸新幹線金沢開業直後の二〇一五年度は七件あり、本年度も中小型液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(東京都)の白山工場(石川県白山市)を取得したシャープ(堺市)など三件の実績がある。
 研究推進本部の予測によると、首都直下型地震ではマグニチュード(M)7程度が三十年以内に発生する確率は70%程度。西日本全域に被害が及ぶとされる南海トラフ地震はM8〜9クラスが三十年以内に70%程度という発生確率だ。それに比べれば、北陸の確率は低い。「極めて小さい」とする石川県の担当者は「絶対に安全と言うことはできないが、利点の一つとして伝えている」と話す。
 東証一部上場の放電加工機製造大手ソディック(横浜市)は、石川県加賀市と福井県坂井市に製造拠点を持つ。加賀市では一八年、約三十二億円を投じて先進技術を詰め込んだ新工場を完成。同社は既に国内で生産する製品をタイや中国の海外工場で代替生産できる態勢を整えており、高木正人執行役員は「グループ全体でカバーするのが災害対策の前提」と話す。
 北陸の企業すべてが万全というわけではない。BCPは、損害を最小限に抑えながら事業を継続、または早期復旧するため一一年の東日本大震災以降、その重要性が指摘される。
 帝国データバンクの五月の調査では、北陸三県で策定した企業は13・8%。全国平均16・6%を下回る。自然災害に実感がないのが要因とみられ、金沢支店の担当者は「策定のノウハウを持つ社員がいない場合や、絵に描いた餅になりかねないという意識も残っているのが引き続きの課題だ」と指摘している。

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