遠鉄の元人事担当者、経験生かし起業

2020年10月16日 05時00分 (10月16日 05時02分更新)
利用者に面接の指導をする青野勝行社長(右)=浜松市中区で

利用者に面接の指導をする青野勝行社長(右)=浜松市中区で

  • 利用者に面接の指導をする青野勝行社長(右)=浜松市中区で
 遠州鉄道で人事部門に長く携わった経験や人脈を生かし、起業して障害者の就労支援に取り組んでいる男性がいる。スカイブルーサポート(浜松市中区)の青野勝行社長(62)。パソコン操作やコミュニケーション力を磨く指導など、働く現場を意識した実践的な訓練プログラムを用意し、企業への就職や定着を手助けしている。 (伊東浩一)
 青野さんは、遠鉄本体やグループの遠鉄百貨店、遠鉄観光開発などで計三十八年間勤務。主に総務・人事畑を歩み、障害者の雇用や心身の不調で休職した社員の復帰支援にも当たってきたことから、「障害や疾患があっても働きたいと思う人たちの自立を支えたい」と起業を決意した。
 昨年一月に退職後、すぐにスカイブルーサポートを設立。同四月に浜松市から就労移行支援事業所の指定を受け、中区上島二のアパート二室を借りて「ステップ・ワン就労アカデミー」の事業所名でサービスを始めた。企業への就職を希望する六十五歳未満の精神、知的、身体の各障害者を対象に最長二年間の就労訓練プログラムを提供。現在は二十人が利用している。
 会社勤めの経験から、青野さんは福祉の観点だけでなく社会の一員として自立して働けるような指導に力を入れる。表計算ソフトの「エクセル」やワープロソフト「ワード」を使ったパソコンの基本操作のほか、緊張する場面でもリラックスして臨める面接の指導、人前で意見を発表するグループ討議といった実践的な内容を盛り込んでいる。
 中でも力を入れるのが職業実習だ。遠鉄時代に培った人脈を駆使して受け入れ企業を開拓。給油所の清掃や販売店での陳列作業、農作業などに毎日参加することで従業員と触れ合い、利用者に社会の雰囲気に慣れてもらうよう心掛ける。
 工夫が実を結び、これまでに利用者五人が地元企業のパート従業員などとして採用された。そこで終わることなく、出勤できなくなった場合の世話など、職場に定着するためのアフターケアにも気を配る。
 新型コロナウイルス禍で地元企業の経営が悪化し、採用環境も厳しくなっているが、青野さんは「今後は慢性的な人材不足が続く農業への就労を推進したい」と前を向く。そして「浜松が障害のある人、外国籍の人、高齢者ら多様な人々が活躍する地域になるために少しでも役に立ちたい」と意気込む。

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