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「キ甲の抜け方」を見ればわかる『デアリングタクトを上回る成長の馬』 実は秋華賞メンバーにいた!

2020年10月16日 06時00分

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無敗三冠に挑むデアリングタクト。だが、この牝馬を上回る成長を見せた馬がいた

無敗三冠に挑むデアリングタクト。だが、この牝馬を上回る成長を見せた馬がいた

◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」
 サラブレッドは3歳夏に大きく成長を遂げると言われる。成長曲線にも個体差があるので、どの馬も一様にとはいかないが、このファクターが例年、秋の「三冠最終戦」の検討に悩ましさを提供する。夏に上がり馬が出現したり、春の再戦という構図になっても、すでに判明したはずの序列が逆転ということが起こり得る。
 端的に表れるのが馬体重だが、無敗の牝馬三冠に挑むデアリングタクトもそこそこ増量しているようだ。杉山師は「競馬当日には480キロか、これを切るぐらいになるのではないか」と見通した。春4戦は新馬戦が464キロ。後3戦が466キロ。もし480キロであれば、一回り増量ということになる。
 同師は「幅、背丈ということではなく全体的に。形はそう変わらないまま大きくなった」と言うが、形の比較であれば、伝統的に若駒の成長の証しとされる「キ甲が抜けた」という変化も伴っている。
 「キ甲」は鞍の直前で、背中の稜線(りょうせん)において峰のように映る突起部。肩甲骨の背側が形成する。ヒトでは肩甲骨は左右に離れているが、大家畜では背縁が近い位置で向かい合っている。若駒のうちは、肩甲骨の長さが足りずに、肩周りの筋肉に埋もれて見える。
 それが成長とともに肩甲骨の背縁は上方に伸びる。さらに肩甲骨を覆っている筋肉が厚くなっていくと、その筋腹は下方にシフト。隆起している部分は腱部が主に占めるため、表層から肩甲骨までが薄くなる。このため全体として隆起が目立ってくる。この一連の変化が「キ甲が抜ける」といわれるものだ。
 乗り味にも変化が生じる。キ甲が抜ける前は腰が高いため、乗り手は前傾姿勢を強いられるが、鞍の前が隆起すると、乗り手の体も起きる。トップスピードで馬の体も起きるようになって駆動力をスピードに変換する効率も上がる。
 春からの比較で、キ甲の抜け方という点でデアリングタクトを上回る成長を遂げた馬が実は秋華賞メンバーにいる。それがミヤマザクラ。記者が大逆転の期待をかけるのは、単に春の2冠で追いかけた延長ではない。
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