高樹のぶ子さん 鏡花賞 金沢市主催「小説伊勢物語 業平」

2020年10月15日 05時00分 (10月15日 10時29分更新)
泉鏡花文学賞に選ばれた高樹のぶ子さん

泉鏡花文学賞に選ばれた高樹のぶ子さん

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 金沢市が主催する第四十八回泉鏡花文学賞の選考委員会が十四日、東京都内であり、高樹のぶ子さん(74)の「小説伊勢物語 業平(なりひら)」が選ばれた。高樹さんは「新たな冒険をした作品が評価された。日本の美をきちんと書かれた作家の賞をいただけてうれしい」と喜びを表現した。
 受賞作は平安時代の歌物語「伊勢物語」の在原(ありわら)業平の生涯を、ですます調や体言止めを織り交ぜた独特の文体で描く長編。色好みとして知られる業平の魅力を、登場人物の詠む和歌の訳を交えながら解きほぐす。
 山口県出身の高樹さんは一九八四年に「光抱く友よ」で受けた芥川賞をはじめ、多くの文学賞を受賞。九九年には石川県旧鶴来町(現白山市)を中心に県内を舞台にした「透光の樹」で谷崎潤一郎賞を受けた。
 各社の電話取材に高樹さんは「大急ぎで業平さんに報告した」と声を弾ませ「リズムに一番苦労した。読みながら音楽を感じていただければ」と語った。
 選考委員は五木寛之さんら六人が務めた。綿矢りささんは「文体が美しく和歌を生かした伸びやかな語り口の力作」、村松友視(ともみ)さんも「業平の全貌が現される作品はなかった。長年取り組んで作り上げた非常に力の入った作品」と評した。
 十一月二十一日に金沢市文化ホールで授賞式があり、鏡花の好んだウサギが彫り込まれた「八稜鏡(はちりょうきょう)」と副賞の百万円が贈られる。

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