<今 教育を考える> 高校生の就職活動 就活支援会社代表・吉田優子さん

2020年10月14日 05時00分 (10月14日 05時00分更新)
吉田優子さん

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 新型コロナウイルスの影響で、来春卒業する高校生の就職活動は日程が例年より一カ月後ろ倒しになり、十六日から採用選考が始まる。高校生の就活を支援する会社、アッテミー(大阪市)代表の吉田優子さん(35)は、生徒の主体的な進路決定には「一人一社制」など長年変わっていない就活の仕組みを見直す必要があると指摘する。 (聞き手・河原広明)
 −高校生の就活とは。
 学校斡旋(あっせん)と縁故、自己開拓の三ルートがあります。自己開拓は自力で応募先の企業を見つける方法で、大学生の就活と似ています。ただ、ほとんどの生徒が学校斡旋を利用し、それ以外を知らない教員や生徒、保護者も多い。
 −課題はありますか。
 一番大きいのは一人一社制です。学校を通じた最初の応募は一社に限るという長年の慣行で、毎年、都道府県ごとに自治体や経済界、学校などの関係者が決めています。生徒の選択の幅を狭め、ミスマッチによる早期離職につながるなどの指摘があります。
 −望ましい就活環境は。
 生徒には選択肢を示すべきです。「初めから複数社に挑戦したい」「学校を通すと、成績やいろいろな都合で希望通りに応募できないなら、自力で何とかしたい」という生徒に「学校を通さない方法もある」と。私たちはそうした生徒をサポートします。ただ、学校斡旋以外の就活には明確なルールがない。学校も企業も二の足を踏んでしまうので、ルール作りが必要です。
 −動きはありますか。
 二月に文部科学省と厚生労働省の有識者会議が、一人一社制などの慣行を見直すよう促す報告書をまとめました。故郷の愛知県は、就職を目指す来春卒業予定の高校生が約一万一千人(七月末現在)で全国最多ですから、特に愛知での議論の広がりには期待したいと思います。
 今年は新型コロナの影響で求人数が減り、求人倍率も下がる中、今後、内定取り消しなどの動きが出てくる懸念が大きい。そんな今こそ、安定した就活のために初めから複数応募を可能にするなど変化を生み出すことが重要です。
 −生徒の意識に変化は。
 新型コロナは、進学を目指していた生徒が就職を考えるきっかけにもなっています。進学してもオンライン授業で構内に立ち入ることも難しい状況で「企業で長期のインターンシップ(就業体験)をした方が成長できる」とか「まず高卒で働いてみて、学びたいことが出てきたら大学や大学院に進む」という新たな価値観が生まれています。
 一人一社制は長年、就職希望の生徒を地元企業に確実につなげる役割を果たしてきました。ただ「あえて進学せず、就職を選ぶような意欲的な生徒を企業にどうつなぐか」という新たな課題には対応が難しくなっています。
 −今後の展望について。
 学校を通した安定的な方法と、初めから複数応募できる民間事業者を活用した方法という選択肢を当たり前のように生徒が知っていて、好きな方を選べる、または併用できる仕組みが広がるといいと思います。企業も意欲的な十代にチャンスを広げ、学歴に関係なく能力で評価する採用手法は優秀な人材を集めるきっかけになると考えてほしい。

 よしだ・ゆうこ 愛知県日進市出身。2009年、大学卒業後、楽天に入社。退社後、13年から大阪府の公立高校で就職指導に携わり、19年に株式会社アッテミーを起業した。


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