サシバ、秋空優雅に 清水区の杉尾山で「タカの渡り」

2020年10月11日 05時00分 (10月11日 05時02分更新)
<1>上昇気流をとらえたサシバ=静岡市清水区の杉尾山で

<1>上昇気流をとらえたサシバ=静岡市清水区の杉尾山で

  • <1>上昇気流をとらえたサシバ=静岡市清水区の杉尾山で
  • <2>何百キロも渡り、先着者(右)をどかしてねぐらの木に舞い降りる=静岡市清水区の杉尾山で
  • <3>タカの渡りを観察する愛鳥家=静岡市清水区の杉尾山で
 スギ林の後ろから1羽のサシバが現れる。続いて50羽以上のサシバがぐるぐると旋回して高度を上げていった。タカ柱だ。そして100羽近いサシバが舞い、西の稜線(りょうせん)に消えていった。
 静岡市清水区の興津(おきつ)川上流にある杉尾山。標高は563メートル。秋になると繁殖地から越冬のために南へ渡っていくタカの観察地になっている。上昇気流をつかむと回って高度を上げ、真富士(まふじ)山(1343メートル)〜竜爪(りゅうそう)山(1051メートル)へと続く1000メートル以上の尾根をグライダーのように越えて行く。
 最も多く見られるサシバはタカ科の猛禽(もうきん)類で、絶滅危惧種に指定されている。東北や北関東などで夏を過ごし、冬に向け南西諸島、東南アジアへと渡って行く。天候や風向きによって違うが、1日に200キロ前後も移動するという。ほかにハチクマの姿もあった。
 タカの渡りでは長野県松本市の白樺峠が野鳥愛好家の聖地になっているが、静岡の渡りもすごいそうだ。杉尾山でタカ柱を見て、とりこになったという静岡市清水区に住む日本野鳥の会静岡支部の手塚稔さん(67)は9月30日、「1800羽をカウントしたが、あちこちで絶え間なく飛び、その後もタカ柱ができた」と話した。
 一方、白樺峠は10月上旬まで、タカの総数は多いが、1日当たり観察できた最高数は1563羽。静岡も引けを取らない。
 午後3時すぎ、サシバが近くのスギの先端に次々と舞い降りた。先に止まっているタカを追い払って降りる姿もあった。何百キロも飛んでくたくただろう。いっぱい虫を食べて力を付けてほしい。幼鳥で力がないと、海を渡り切れず、魚の餌になってしまうと聞いた。翌朝、小雨の中で飛び立つサシバを祈るように見送った。 (立浪基博)

関連キーワード

PR情報