映画「インディペンデントリビング」 田中悠輝監督に聞く

2020年10月10日 05時00分 (10月10日 11時15分更新)
「障害当事者と介助者がフラットに交差することが魅力的だった」と話す田中悠輝監督=金沢市内で

「障害当事者と介助者がフラットに交差することが魅力的だった」と話す田中悠輝監督=金沢市内で

  • 「障害当事者と介助者がフラットに交差することが魅力的だった」と話す田中悠輝監督=金沢市内で

障害と介助 フラットな関係


 障害者が地域で自立生活する姿を追ったドキュメンタリー映画「インディペンデントリビング」。自身も障害者介助に携わる田中悠輝監督(29)=川崎市=が初めてメガホンを取った。「どう伝えるかを考えながらカメラを向ける中で、当事者と介助者の対等な関係が魅力的だった」と語る。
 登場するのは、リスクがあっても親元や施設を離れて地域で暮らすことを目指す障害当事者と介助者たち。二〇一六年から三年間をかけた映画には、大阪府内にある三カ所のセンターで自立生活する当事者や介助者たちの奮闘ぶりが生き生きと描かれる。
 事故で頸椎(けいつい)を損傷して首から下にまひがある男性が、介助を始めたばかりのバンドマン川崎悠司さんに指示しながら、入浴し、食事を取り、たばこを吸う。一つのセンターの代表でもある男性が語る「この仕事をするために頸損になったんやと思えるようになった」という言葉が印象的だ。
 田中さんは東京で介助者として働く一方で、映画制作・配給会社「ぶんぶんフィルムズ」の鎌仲ひとみ監督と知り合い映画の世界に入った。大阪で活動する全国自立生活センター協議会代表の平下耕三さんらに「オレらを撮ってや」と、背中を押された。
 撮影を通して「漫然とヘルパーやるのではなく、カメラを介して見詰めることで、本当に当事者の苦しさ、大変さを想像する時間が増えた」という。一方で「それをどう伝えるかについて意識が向き、その結果、当事者と介助者それぞれにフラットに生活があって、その場所で双方が交差しているということが、すごく魅力的に感じられた」。スクリーンからは、失敗も含めて、自らが生き方を選ぶ自由の貴さがあふれる。
 生活困窮者を支援する認定NPO法人「自立生活サポートセンターもやい」(東京)でも活動する田中監督。新型コロナウイルスの感染拡大で派遣切りなどに遭い生活が不安定になっている人が増えている。「支援をしながら、映像を撮りためている。いつか形にできれば」
 映画「インディペンデントリビング」は金沢市香林坊のシネモンドで十六日まで。音声ガイド付き無料アプリ「UDCast」に対応する。富山市のほとり座では十一月二十一日から上映予定。ネット配信で見ることもできる。詳細は作品の公式ホームページから。(松岡等)

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