リニアルート変更を論文で訴え 知事が中央公論に寄稿

2020年10月10日 05時00分 (12月22日 17時29分更新)
 リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事を巡り、静岡県の川勝平太知事は九日発売の月刊誌「中央公論」に、ルート変更か部分開業を主張し、JR東海に対し、計画見直しを強く求める論文を寄稿した。その中では菅内閣に、見直しを視野に入れ工事の中間評価を行うよう要請。難波喬司副知事も二日に東京で会見したばかりで、着工を認めないことへの県内外の理解を得ようと発信を強化している。 (大杉はるか)
 寄稿では、これまでの経緯と従来の主張を順を追って説明。最北部の南アルプス地下を通過するリニアルートが二〇一一年に発表され、JR東海の環境影響評価(アセスメント)に対する知事意見をまとめる過程で、水源の大井川と地下水への影響を考え「命の水を強く認識した」と記した。
 新型コロナウイルスの感染がルートと重なる大都市圏で広がったことにも触れ、リニアでつながれば「感染ベルト」になる危険性を指摘。これらを根拠に「リニア計画の見直しも視野にいれ、現行工事の中間評価を行うことは菅新内閣の責務」と言い切っている。
 このほか、長野県の松本空港と連結させるルート変更案や名古屋−中津川(岐阜県)、東京−甲府(山梨)の部分開業を提案。「命の水を戻すことができないのであれば」という条件つきで「南アルプス・トンネル・ルートは潔くあきらめるべき」と明記した。
 リニアを巡っては、県外を中心に「着工を認めない静岡悪者論」も出る中、難波副知事が二日に東京の日本記者クラブで、考えをアピール。県民にも理解を広げるため四日発行の「県民だより」には一面を使い解説記事を掲載した。県幹部は「これまでコロナ感染防止で動きづらかった」と話し、今後は発信機会をさらに増やす方針だ。

◆生協静岡から県支持の2170筆

 リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事を巡って、生活クラブ生協静岡(沼津市)は九日、着工を認めない川勝平太知事と、県の対応を支持する署名二千百七十筆を提出した。
 県庁で榊原優子理事長らが手渡すと、川勝知事は「百人力」と応じた。
 生活クラブは生協の一つで、組合員が出資し、食材を共同購入。榊原理事長は「八月末から一カ月で集め、水問題に対する関心が高まった」と話した。 (高橋貴仁)

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