コロナ臨調報告 本気の備えが足りない

2020年10月10日 05時00分 (10月10日 05時00分更新)
 民間有志のグループが、政府の新型コロナウイルス対策を検証した。浮き彫りになったのは大規模な感染症への「備え」の欠如だ。政府は指摘を正面から受け止め、次に備える責任がある。
 本気で備えていなかった−。
 報告書が厳しく指摘する政府対応の根本的な課題だ。備えがあれば政府内の混乱を最小限にし、臨機応変に打てる対策の幅も広がり、その効果も上がったのではないか。そう考えざるを得ない。
 検証したのは「新型コロナ対応・民間臨時調査会」。財界人を委員長に弁護士や学者らがメンバーとなり、安倍晋三前首相ら政府関係者八十三人に聞き取り調査をした。
 これまでの政府の対応を検証して課題を洗い出し、次に備えるべきは明らかだ。第三者の検証は意義があるだろう。
 報告書などによると、官邸の対応は泥縄で試行錯誤を繰り返したと指摘する。対策の司令塔になるべき組織は官邸にあったが、新型コロナを想定しておらず当初は機能しなかった。一斉休校は十分な準備をせずに実施を即決した。
 後手に回った対応に感染拡大の一因となった欧州からの流入を防ぐ水際対策がある。専門家が対策強化を求めたが、一斉休校への国民の批判の大きさに驚き、さらに対策を打つ判断が遅れた。
 小池百合子東京都知事が都市封鎖の可能性に言及したことで食料品などの買い占めが起こり、パニックを恐れて緊急事態宣言を出す時期が遅れたとも指摘している。
 専門家との役割分担の不明確さや、対策の中で検査態勢をどう位置付けるかの戦略のなさにも言及している。
 手探りでの対応が難しいことは理解できる。だが、報告書は政府が新型コロナの感染規模や影響の大きさを想定しておらず、「最悪のシナリオ」を含めあらゆる想定を怠っていたと指摘する。
 事前に準備していたら休校措置や水際対策、検査や医療態勢の拡充など、もっとスムーズに対応できたのではないか。
 今回の教訓は、既に二〇〇九年の新型インフルエンザへの対応を検証した政府の報告書で指摘されているものばかりだ。必要な備えが示されていたのに生かし切れなかった政府の責任は重い。
 報告書は「形を変えて、危機は必ずまたやってくる」と警鐘を鳴らしている。感染症がいつ再び社会を脅かすか分からない。政府は本気で報告書から学ぶべきだ。

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