新聞で育む読む力 「学び合い」が刺激に

2020年10月9日 17時30分 (10月9日 19時30分更新)

「いつから大人?」を読み、他の子と意見交換しながら考えをまとめる子どもたち=愛知県半田市の横川小で

 九月中旬、愛知県半田市の横川小六年生の教室。「どんな人を大人だと思いますか?」。担任の黒田有貴さん(36)が尋ねると、「成人した人」「社会人」など次々に声が上がった。
 題材になったのは三月に掲載された「くらしの中から-」の「いつから大人?」の記事。二〇二二年に成人年齢が二十歳から十八歳に引き下げられることを取り上げ、法律では何歳から何ができると定めているかを紹介しながら、自分が思う大人の基準を問い掛けた。
 黒田さんは記事のコピーを配布。子どもたちはそれを読んだ上で、記事を基に黒田さんが作ったワークシートの「辞書は大人の意味をどう書いているか?」などの問いを埋めて考えをまとめ、「学び合いが大事」と他の子の意見も聞いた。
 「大人は十五歳から」と書いたのは井上知奈さん(12)。「アルバイトができて自分で生活できるようになる」というのが理由。話し合いは「大人に必要な力とは」にも及び、久米帝駕(たいが)君(12)は「社会になじめる力」と回答。「社会に出ても困らない力」「体の健康」などの声も出た。こうした議論は、意見を作文にまとめる土台になるという。

3月掲載の「いつから大人?」

 同校の六年生が「くらしの中から-」を使って授業をしたのは、七月に続き二回目。竹内陸君(11)は「新聞を使った授業は、ニュースを題材に友達と話し合えるから好き」と話す。前回は、四月掲載の「ネット利用のルール」がテーマの記事を使い、体験談や守っているルールについて、約三百字で作文を書いた。
 人を倒すゲームを毎日何時間もやっていたら、ゲーム機に向かって「やれ、ぶっ倒せ」というのが癖になっていた-。正直に書いたのは、守屋陽斗君(12)だ。親に注意され、自分でも「ゲーム依存かもしれない」と思ったことから「一日一時間半以内」とルールを作った経験を書いた。「作文で宣言し、絶対ルールを守ろうと思うようになった」。三浦梨子さん(12)は「知らない人と知り合うことができるため危険にまきこまれるかも。利用には『午後九時まで』などのルールが必要」とまとめた。
 同校校長の小嶌正嗣さん(52)は「新聞記事は会話を生み出す。どんな記事に興味を示すかを知り、感想を言い合えば距離も近づく」と話す。小嶌さんは二年前まで、市教育委員会で不登校の小中学生の支援に携わっていた。子どもの前に新聞を広げ、興味のある記事について思ったことを話してもらい、コミュニケーションを取ったという。
 小嶌さんは朝会で新聞記事を紹介するなど、NIE(教育に新聞を)に積極的に取り組んでいる。「活字離れが深刻」という危機感からだ。読書の時間も、文字を読むのでなく、写真や絵を眺めている子が多いと感じる。「授業に新聞を取り入れることで、読む力も書く力も養いたい」
 同校以外にも「くらしの中から-」を取り入れ、作文を送ってくれる学校は、小学校から高校まで少しずつ増えている。今月二日に掲載したテーマは「学校の制服」で、締め切りは二十六日。応募はこちらから。
(10月9日付 中日新聞朝刊23面より)

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