<ユースク>「断ったのに契約」 中電のガスとのセット割、DMに問題

2020年9月30日 05時00分 (9月30日 05時01分更新)
 「家に来た営業マンに断ったのに、いつの間にか契約をされていた」。中部電力の電気と都市ガスのセット割引の契約に関し、名古屋市内の読者からこんな情報が寄せられた。取材すると営業訪問のきっかけになったダイレクトメール(DM)に法的問題があったことなどが分かった。中電側は本紙の取材を受け、営業手法の見直しやチェック体制の強化を進めている。 (石井宏樹)
 読者によると、返信はがき付きのDMが自宅に届いたのは六月。電気だけでなく、ガスも中電にした方が「おトク!」という内容だった。六十代の母親が「詳しく説明してほしい」と思い、ガス契約の状況などを書き込んで返送した。
 後日、中電の販売会社「中部電力ミライズ」の営業代行会社「関西ビジネスインフォメーション」(KBI、大阪市)の営業マンが自宅を来訪。母親が応対したが、説明に納得できず「契約しない」と告げたという。しかし、八月上旬になってガス契約が中電に切り替わったとの通知が自宅に届き、読者は「だまされたと思った」と振り返る。
 中電ミライズによると、セット割引を勧めるDM発送は六月上旬に実施。名古屋市内で計三万通を送り、百五十二件の返信があった。
 本紙の取材を受け、同社は百五十二件すべてを緊急調査。その結果、覚えがないのに契約が成立していたケースが読者宅を含め二件あったという。
 実はこのDM、よく読むと「ご返信いただきましたらお申し込みとさせていただきます」との記載があり、読者の母親は自ら申し込んだことになっていた。申し込みと認識せずにDMを返送し、その後にキャンセルしたケースは他にもあったが、読者の母親の場合、自宅に来た営業マンに口頭で断っても反映されなかった。読者は「そもそもDMの内容が分かりにくく、はがきを送っただけで申し込みになるのはおかしい」と憤る。
 中電ミライズによると、緊急調査では、このDMには法的問題があることも発覚した。
 DMには契約の条件などをまとめた「重要事項」の説明文がなく、それを知るには消費者が記載されたQRコードをスマートフォンなどで読み込まなければならなかった。契約者への説明義務を定めたガス事業法に違反しており、同社の桜井澄人部長は「誤解を生じさせる方法で反省している」と話した。
 今回の問題を受けて、中電ミライズは同社の営業手法が適法、適正か、外部の弁護士が確認する再発防止策に取り組む。KBIは訪問販売などで契約が成立したすべての顧客に意図に反した契約が行われていないか電話確認する仕組みを導入することを決めた。
 消費者問題に詳しい岩城善之弁護士は「電力ガスなどの公益事業は消費者全体を相手にしている。お年寄りなどスマホを使えない情報弱者にも契約の中身を理解できるようにするべきだ」と指摘した。

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