【富山】次世代につなぐ返還実現の想い 史料室開設

2020年9月30日 05時00分 (9月30日 09時54分更新)
史料室に設置した北海道根室市から贈られたジオラマを囲む室長の大野久芳黒部市長(手前左から2人目)ら=29日、富山県黒部市で(松本芳孝撮影)

史料室に設置した北海道根室市から贈られたジオラマを囲む室長の大野久芳黒部市長(手前左から2人目)ら=29日、富山県黒部市で(松本芳孝撮影)

  • 史料室に設置した北海道根室市から贈られたジオラマを囲む室長の大野久芳黒部市長(手前左から2人目)ら=29日、富山県黒部市で(松本芳孝撮影)

「北方領土」 黒部で知る


 北方領土問題の歴史などを伝える施設「富山県北方領土史料室」が二十九日、同県黒部市生地の市コミュニティセンター三階に開設された。富山県は北方領土からの引き揚げ者が北海道に次いで多く、道以外では初めて。元島民の高齢化が進む中、若い世代に島へ渡った先人たちの足跡を伝え、返還実現への思いをつなぐ。
 史料室は、県内の官民でつくる北方領土返還要求運動県民会議が設置し、黒部市が管理。「次世代につなぐ返還実現の想い」をコンセプトに、富山と北方領土のかかわりや歴史などを紹介する。
 室内には、北海道根室市から贈られた四島のジオラマや羅臼町の羅臼国後展望塔などから島を望むライブ映像を映したモニター、元島民のインタビューや四島の上空映像が見られる大型ディスプレーなどを置いた。居住者がいた当時の住民台帳や居住図などの史料、絵本で北方領土を知る学習コーナーも設けた。
 この日開かれた完成式典には、県民会議会長の上田英俊県議長ら関係者と元島民の約百人が参加。室長の大野久芳黒部市長は「一日も早い返還実現へ、運動を盛り立てていきたい」とあいさつ。出席した同市清明中三年、高野なるみさん(15)は「四島に必ず行ってみたい」と話した。
 歯舞群島・多楽島に住んでいた中陳さつ子さん(84)=同市生地=は室内を見学し「待ちに待った施設。長く語り部活動をしてきたが、後継者に思いを継いでいける」と喜びをあらわに。千島歯舞諸島居住者連盟富山支部の吉田義久支部長(83)=同市中新=は「元島民の多い黒部にできたのは意義深い。先人の苦労を伝えていける」と語った。
 県内の北方四島からの引き揚げ者は千四百二十五人。このうち八百三十五人を占める黒部市は根室市と姉妹都市となり、返還運動に取り組んでいる。

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