挑む浮世絵 国芳から芳年へ 私のおすすめ作品(中)

2020年9月30日 05時00分 (9月30日 05時03分更新)
橋本麻里さん

橋本麻里さん

  • 橋本麻里さん
  • 月岡芳年「東名所墨田川梅若之古事」 名古屋市博物館蔵
 父が死に、奥州の知人を頼って京から下向する途中、人買いにだまされた十二歳の梅若丸。おぼろな月が水面を照らし、花吹雪の舞い散る春の夜、ついに墨田川のほとりに崩れ落ちる…。
 中世以降に流行した梅若伝説をもとに謡曲、浄瑠璃、小説などが作られ、中でも舞台となった江戸では、数多くの歌舞伎作品が生まれた。芳年描くそのクライマックスシーンは、人買いの前で息絶えようとする梅若の、はかなくも妖艶(ようえん)な表情にくぎづけに。エロスとタナトス。一滴の血も裸も描かれていないのに、危険なにおいが立ちこめている。
 (ライター、エディター、永青文庫副館長・橋本麻里)

 「挑む浮世絵 国芳から芳年へ」展(中日新聞東海本社など主催)は浜松市中区松城町の市美術館で11月8日まで開催。月曜休館。一般1200円、高大専門生800円、70歳以上と小中生600円。(問)同美術館=053(454)6801


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