白山の恵みで温泉パン 障害と向き合う原さん考案

2020年9月29日 05時00分 (9月29日 09時57分更新)
温泉水を練り込んだパンを作る原奈津江さん=白山市佐良で(白山すぎのこ温泉提供)

温泉水を練り込んだパンを作る原奈津江さん=白山市佐良で(白山すぎのこ温泉提供)

  • 温泉水を練り込んだパンを作る原奈津江さん=白山市佐良で(白山すぎのこ温泉提供)
  • 温泉水を練り込んで焼いたバターロール=白山市佐良で(白山すぎのこ温泉提供)

働く日々「楽しくて仕方ない」


 障害者就労支援を受けて働く白山市の原奈津江さん(47)が、勤務する温泉施設「白山すぎのこ温泉」(同市佐良)から湧き出る温泉水を使ったパンを考案した。しっとりとした食感が特徴で、温泉を生かしたアイデア商品として好評だ。障害と向き合いながら、得意なパン作りの能力を生かして働く日々。原さんは「楽しくて仕方がない」と顔をほころばせる。 (都沙羅)
 「温泉パン」の定番はシンプルなバターロール。手に取るとずっしりと重く、食感はしっとりとなめらか。生地には水の代わりに天然の温泉水を練り込む。
 泉質がアルカリ性のため発酵しにくかったが、温泉水の分量を調整し、ふっくらと焼き上がるようにした。日替わりで総菜パンや菓子パンも登場し、白山麓で収穫した野菜を使うなど地産地消も意識する。
 原さんは結婚後、三十歳のころに独学でパンを焼き始めた。子どもたちを喜ばせたいという思いからだった。こねてオーブンで焼く簡単なレシピだったが、母親の姿を見た子どもたちが、パン専用オーブンを誕生日にプレゼント。「その気持ちが本当にうれしくて」と振り返る。
 十年ほど前に双極性障害(そううつ病)を患った。入退院を繰り返し、「気分が落ち込む日々が続いた」。パン作りも中断した。治療に専念し、三年ほど前から徐々に回復。働きたいという思いが募り、昨春市内の障害者就労支援事業所「JOINUS(ジョイナス)/だんろ」に入所し、軽作業から始めた。
 働くことに慣れた原さんは、厨房(ちゅうぼう)での勤務を希望。今年四月から、すぎのこで食堂の調理補助を担当するようになった。体調と向き合いながら、すぎのこのために自分ができることを模索した。思い付いたのは、やっぱりパン。六月、「温泉ならではのパンを焼いてみたい」とすぎのこの職員に相談すると、提案が採用された。「希望が通ったからには頑張らなきゃ」と無心でパンを焼いた。
 現在、原さんと職員三人が一緒にパンを作る。「おいしいと言われているのをうわさで聞くとうれしい。パンを焼く楽しさを仲間と共有しています」と、目を輝かせる。
 パンの販売は平日のみ。温泉は、新型コロナウイルス感染防止と施設のメンテナンスのため今月四日から休館していたが、二十七日から営業を再開した。
 (問)同温泉076(255)5926

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