医師待つ教会 患者に希望 「金沢こころクリニック」に併設

2020年9月29日 05時00分 (9月29日 10時02分更新)
礼拝の参加者に向け、聖書をもとに語る浜原昭仁院長=金沢市広岡の金沢こころチャペルで

礼拝の参加者に向け、聖書をもとに語る浜原昭仁院長=金沢市広岡の金沢こころチャペルで

  • 礼拝の参加者に向け、聖書をもとに語る浜原昭仁院長=金沢市広岡の金沢こころチャペルで

副牧師の院長「苦しみ解放する場」


 金沢駅前のビルの地下に、一風変わったキリスト教会がある。その名も「金沢こころチャペル」(金沢市広岡)。心療内科の診療所「金沢こころクリニック」に併設され、副牧師を浜原昭仁(しょうに)院長(63)が務める。礼拝で聴く浜原院長らの話を通じ、生きる意味を見いだす患者もいるようだ。 (高橋雪花)
 毎週日曜日、診療所の待合室は教会に姿を変える。三十人ほどの参加者に向かい、聖書を基に話をしたのは浜原院長。アフガニスタンで人道支援に尽くした医師の故中村哲さん=享年七十三=ら、年を重ねてもなお信念を貫いた人々を例に挙げながら、優しく語りかける。「自分のできる限りのことを精いっぱい続けることは、目立たなくても立派なことです」
 チャペルは二〇〇六年に開設。キリスト教系の大病院にチャペルが併設される例はあるが、個人の診療所では珍しいという。礼拝では浜原院長と、牧師の妻外余美(とよみ)さん(59)が毎週交代で説教をしている。
 浜原院長は「生きるとはどういうことか」と考える中で聖書に触れたことをきっかけに、小松高校二年の頃に洗礼を受けた。その後「神のため、人のために生きる」という教えから医師の道へ進んだ。
 県立高松病院に勤めていたころ、うつ病の患者たちに尋ねられた。「私は何のために生きているんでしょう」。キリスト教の視点から答えたくても、公立の病院で宗教的な話はできなかった。「患者の問いに答える場を持ちたい」。独立し、同時に教会を開いた。
 礼拝の参加者は、心に苦しみを抱える患者が多い。浜原院長によると、聖書は自分の弱さに気付いた人に向けた教えが記されており「乾いた土に水が染み込んでいくように受け取ってくれる」と話す。礼拝で話すときには、失敗や後悔ではなく感謝など良いことに目を向けるよう促すなど、治療の視点も応用する。
 「なぜこんなつらい目に」と悩む患者が、礼拝からヒントをもらい力を得ることもあるという。統合失調症と双極性障害(そううつ病)でクリニックに通う四十代の男性は、十年間、礼拝に参加してきた。「苦しいときに来ると涙が出て『明日も頑張ろう』と思える」と語る。
 新型コロナウイルスの影響で、悩みや不安を抱える人は多い。浜原院長は「生きる意味を見いだしたり、苦しみの中にいる人が解放されたりする場所でありたい。クリニックには足を運びづらくても、教会は敷居が低いと思うので来てみてほしい」と話す。
 礼拝は午前十一時から。

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