フィルムコミッショナー 名古屋観光コンベンションビューロー 三宅友里さん(「新聞社の事業担当」関連)

2020年10月3日 00時01分 (10月6日 12時22分更新)

現場の配線コードの写真を撮る三宅友里さん。次にこの場所で別のロケがある時、配線の提案に役立てる=いずれも名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で


映画やテレビドラマなどのロケを地元に誘致し、撮影を下支えするのが「フィルムコミッショナー」です。中学生記者は、名古屋市内で中国映画の撮影現場を取材。名古屋観光コンベンションビューローの「なごや・ロケーション・ナビ」で働く三宅友里さん(33)に話を聞きました。

三宅さんを取材する中学生記者ら

「絵になる」ロケ地発掘


 名古屋国際会議場で撮影していたのは「唐人街探案3・(僕はチャイナタウンの名探偵3)」。一作目と二作目の興行収入が中国で計七百億円を超えた大ヒット映画の第三弾です。
 撮影現場に足を踏み入れると、記者たちは息をのみました。吹き抜けのエントランスが、空港のロビーに様変わりしていたのです。
 映画では成田空港の設定で、到着便の大きな案内掲示板や両替カウンター、観光案内所もすべて手作り。「案内板を設置して旅行者の格好をした人がいるだけで空港に変わる。それがこの仕事のおもしろさ」と三宅さんは語ります。
 三宅さんは、コンベンションビューローの採用試験に合格後、ロケナビに配属されました。ロケ地の対象となるのは名古屋市全体。普段歩く道路や公園もすべて「絵」になる可能性があります。「決め付けてしまうと広がりません。一つでも多く発掘するのが仕事です」

三宅さんが仕事で使っているカメラやバッグ、テープ


 ロケナビのようなフィルムコミッションは、全国に三百以上。ロケ地の提案のほか、エキストラの手配、警察との交渉などを無料で引き受けます。
 なぜお金をもらわないのでしょうか。ロケが決まると、スタッフらの宿泊代や弁当代などの経済効果が生まれるほか、ファンが「聖地巡礼」としてロケ地を訪れたり、名古屋を好きになるきっかけになったりすることも期待できるためです。
 撮影には最後まで立ち会い、時には早朝から深夜に及ぶことも。「私が現場にいることで、場所を貸してくれた人や警察、監督と信頼関係が生まれる。何かあったときに、『現場にいなかったからわかりません』は無責任」と話します。
 一度だけ仕事で涙が出そうになったことがあるそうです。二〇一七年に、名古屋市役所がロケ地となった映画「三度目の殺人」。公開前の記者会見で、主演の福山雅治さんが「重厚なたたずまいの建物ですごく絵になった」と語り、是枝裕和監督は「生きている建物を貸してもらえるのはなかなかない。街全体が協力的で撮影しやすい」と話してくれたからです。
 「最高のご褒美で、喜びをかみしめました」と三宅さん。地元のエキストラから「名古屋をもっと好きになりました」と声をかけられたことも。「名古屋を好きだから、『名古屋なんて』と思っていた人を見返したい」と笑いました。(構成・石川由佳理)

映画の撮影に使う機材

 ◇
<三宅さんから>
 「名古屋をもっと知ってもらいたい」など、地元に愛着心を持っている人が向いています。映像を学んでいなくても大丈夫。人とのつながりを大切にして、相手に「やってあげたい」と思う気持ちが大切です。
<これまでの歩み>
2004年 名古屋市内の高校を卒業、一般企業に就職
  08年 結婚を機に退職
  11年 名古屋市役所で臨時や非常勤職員として勤務
  13年 名古屋観光コンベンションビューローに採用され、フィルムコミッショナーに
<2019年9月15日紙面掲載>

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