中日春秋

2020年9月28日 05時00分 (9月28日 05時00分更新)
 新聞のコラム書きのことが歌詞に登場する曲は日本歌謡史においておそらくこれ一曲か。甲斐バンドの「嵐の季節」(一九七八年)
▼内容といえば、<新聞のコラムの年寄りまでが熱い季節ですとわめくのさ>。歌の中でのコラム書きの評判はよろしくない。時代の変化に鈍感で頑迷な印象がある。若い時にこの歌を聴いた身としては若者に小言めいたことを書きたくないのだが、話題は「国語に関する世論調査」である
▼「敷居が高い」。その意味を本来の「相手に不義理をしてしまって家に行きにくい」ではなく「高級すぎて入りにくい」と受け止めていた人は約六割。誤解の方が大幅に上回る。十代、二十代に限れば、ほぼ八割が間違えていた
▼無理もないか。今の住宅構造上「敷居」が分からない若者もいるだろうし、義理を欠いたために出入りしにくくなるという「出来事」ももはや日常的ではない
▼日本語の乱れとわめく気はない。生活の変化とともに本来の意味が失われるケースや誤用はいつの時代にもある。できれば知っていてほしいが、うまく伝えられなかった大人のせいもあろう
▼新聞のコラムの年寄りが若者に教えて差し上げる。映画の寅さんがあるでしょう。タンカを切って家を飛び出した寅さんが帰ってくるのだが、家の前でモジモジしている。あれが「敷居が高い」状態。えっ、寅さんをご存じないって?

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