親子3代で愛される味が強み ノルマン洋菓子店 中村一貴さん(28)

2020年9月27日 05時00分 (9月27日 12時00分更新)
クラウドファンディングで寄付した人への返礼品を箱詰めする中村一貴さん=金沢市米泉町の「ノルマン洋菓子店」で

クラウドファンディングで寄付した人への返礼品を箱詰めする中村一貴さん=金沢市米泉町の「ノルマン洋菓子店」で

  • クラウドファンディングで寄付した人への返礼品を箱詰めする中村一貴さん=金沢市米泉町の「ノルマン洋菓子店」で
 三つ子の長男で、幼いころは毎日「ノルマン洋菓子店」のケーキを食べるのが当たり前でした。学校から帰ったら店で遊び、記念写真はケーキのショーウインドーの前。甘さ控えめのうちのケーキが僕は好きです。家族の大変さも間近で見て育ちました。
 富山大卒業後、商社に就職し、新潟で電子機器の営業をしていました。上司と合わずに今年、仕事を辞め、帰郷すると、コロナ禍で店に活気が無くなっていました。何かしなくちゃ、でも何をすればいいのか。そんなとき、お客さんにクラウドファンディング(CF)を勧められたんです。失敗してもいいからやってみようと、早速準備を始めました。
 目標額を決めるため、人件費など必要な運営資金を算出することから始めました。また、専用サイトに店の歴史を載せるため、古いアルバムを引っ張り出してばあちゃんに昔の話を聞きました。サイトの文章を考えたのは、名古屋で暮らす一番下の弟の春貴(28)。ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」で何度も打ち合わせました。
 寄付の受け付けを開始してからは、店の会員制交流サイト(SNS)の更新を増やし、二番目の兄弟の勇貴(28)や親戚に拡散してもらいました。併設するカフェにケーキバイキングをしに来る学生さんも、SNSに一役買ってくれました。でも、成功した一番の理由は、お客さんがずっとファンでいてくれたからだと思います。
 寄付金は、店の経営を維持するための人件費に充てるほか、新しい取り組みに使います。ホームページをリニューアルするほか、通信販売サイトも立ち上げる予定。今は寄付の返礼品の菓子を発送するのに大忙しですが、新しい焼き菓子の開発にも取りかかりたいです。
 ノルマンってめっちゃファン多いんやなって、CFを通して知りました。親子三代で愛される味がうちの強み。味を変える必要はないけど、作業の時間短縮など効率を考える必要はあります。最近はSNSのメッセージで、併設するカフェのケーキバイキングの予約を取ることで、食材のロスも減りました。
 父は午前五時半から仕事をして、ばあちゃんはその一時間前からシュー生地にクリームを詰め、カフェは母が切り盛りしています。最近は僕も手伝っていますが、地道な仕事を三百六十五日続けるってすごい。うちの店がやれることはまだある。まだ未熟だけど、店と家族の力になりたい。(堀井聡子)
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