山口さよさんの在宅41年(3)生活費を得る 高島碧(東海本社報道部)

2020年9月27日 05時00分 (9月27日 05時00分更新) 会員限定
学生ヘルパー(左)に布団をかけてもらう山口さよさん=三重県四日市市伊倉で

学生ヘルパー(左)に布団をかけてもらう山口さよさん=三重県四日市市伊倉で

  • 学生ヘルパー(左)に布団をかけてもらう山口さよさん=三重県四日市市伊倉で
 手話サークルで一人暮らしをするための「仲間」を得た当時三十二歳の山口さよさん(74)=三重県四日市市=にとって、次に必要なのは、生計を立てるために、生活保護費を得ることだった。
 必要な収入のアテを確保してから一人暮らしを実行に移す、という一般的な順序とは逆。さよさんの場合は「自分が一人暮らしを始めてから、生活保護の申請をした」。無謀にも、一文無しで一人暮らしを始めた。案の定、生活保護はすんなり認められなかった。市の窓口に連絡すると、担当者が一人暮らしを始めたさよさんの自宅を訪問。折衝が始まった。

同居か施設 迫られて

 「なぜ、施設に入らないのか」。それが市側の言い分。母親を呼び出し「なぜ、子供の面倒をみないのか」「なぜ、施設に入れないのか」。同居か施設か。二択を迫られた。なぜ、一人暮らしが簡単に受け入れられなかったのか。それには、障害者のための公的制度の歴史を頭に入れておく必要がある。
 一九七〇年にできた心身障害者対策基本法の第一一条には、重度の障害者に対して「自立することの著しく困難な者」として「終生にわたり必要な保護を行う」とある。重度障害者は同居家族による介護が当たり前の時代から...

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