「理想は世界とともに変化続ける」 現時点での集大成

2020年9月26日 05時00分 (9月26日 11時05分更新)
手びねりによる器に鮮やかな絵付を施した牟田さんの作品

手びねりによる器に鮮やかな絵付を施した牟田さんの作品

  • 手びねりによる器に鮮やかな絵付を施した牟田さんの作品
  • 牟田陽日さん
  • 「美の器 牟田陽日作品集」(芸術新聞社)

九谷焼の色絵作家
牟田陽日さん初の作品集


 九谷焼の色絵作家牟田陽日(むたようか)さん(石川県能美市)が初めての作品集「美の器 牟田陽日作品集」(芸術新聞社)を出版した。「理想は一つの方向を追求するというものではなく変容する世界とともに変化するもの」という牟田さん。現時点の集大成となる。
 東京都出身。ロンドン大ゴールドスミスカレッジファインアート科を卒業し、現代アート作家として活動した後、石川県立九谷焼技術研修所で九谷焼を学んだ。2016年にパラミタ陶芸大賞を受賞。近年の個展では初日には作品が完売する人気作家だ。
 磁器では数少ない手びねりによる独特の造形の器に色絵のさまざまな九谷の伝統技法を駆使して、龍や獅子、麒麟(きりん)など神話や伝説上の生きものや自然界の動植物を描く。「伝統工芸では一つの技を磨くことが美学だが、現代美術では自分が成しとげたいことのために素材や技術を貪欲に取り入れることが誠実さ。それが自分のベースにある」と話す。
 出版は「九谷の鮮やかさは写真として映えるし、器とは別の魅力として提示できる。作品はこれからも変化していくので、現時点でまとめたいと思っていた」からという。細密かつ大胆な構成による圧倒的な牟田さんの絵の力を、時にクローズアップによる鮮やかな写真で見ることができるのはファンにはうれしい。テーマごとに題材や技法について解説した文章は明晰(めいせき)で、美に向き合う思いをつづったエッセーも読み応えがある。
 B5判変型、144ページ。2800円(税別)。(松岡等)

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