【雨乃日珈琲店だより ソウル・弘大の街角から】(33)かつてない営業規制

2020年9月26日 05時00分 (9月26日 11時03分更新)
ベンチがテープでふさがれた公園=ソウルで

ベンチがテープでふさがれた公園=ソウルで

  • ベンチがテープでふさがれた公園=ソウルで
  • 「獨坐對月心悠悠」(2018年)。たったひとりで月をながめ、何思うこともない。蘇舜欽の詩
◇文・清水 博之 ◇書・池多亜沙子

感染拡大続いて「2・5段階」


 八月後半に起きた新型コロナウイルスの第二波の感染拡大により、比較的穏やかだったソウルの様子は一転。飲食店経営者はジェットコースターのような日々を味わった。
 ソウル市は八月十六日から社会的距離確保規制を「二段階」に引き上げ、外出自粛を求めた。当店をはじめ一般飲食業は普通に営業できたが、お客は目に見えて減り、自主的に営業を控える食堂やカフェも少なくなかった(幸い、自粛しなければという圧迫感は全くなかった)。
 それでも感染拡大は続き、都市封鎖と同レベルというかつてない「三段階」規制がうわさされたころ、三十日から施行されたのは耳慣れない「二・五段階」。まさか小数点が来るとは思わなかった。個人の飲食店は営業できるが、店内での飲食は夜九時までに(テークアウト販売は可)。バーや居酒屋は早々に閉めざるを得ず、夜のソウルは見たことがないほど暗くなってしまった。ただし夜に集まりたい人々は必ずいて、弘大の公園はにぎやかに。市はベンチに座れないようテープを貼り、公園でマスクの着用を監視したが、若者たちは気にせず野外に集った。
 昼営業の当店も、市の指針に沿って席を減らし、全てのお客に氏名と電話番号を書いてもらった。プライバシーに踏みこむようで個人的には抵抗感があったが、お客には用紙記入の代わりにスマホでQRコードを表示してもらい、それを私のスマホがピッと読み取ることで個人情報を安全にやりとりできるというアプリがあり、とても役立った。
 やがて感染は落ち着きはじめ、九月十三日にはとうとう二段階に戻った。クラブやカラオケ店などまだ営業できない業種もあるが、多くの飲食店は通常営業を再開し、私たちも少し胸をなでおろしている。
 今年の秋夕(チュソク)(旧盆)は十月一日。例年ならこの連休に親族が集まり墓参りなどを行うが、政府が自粛を呼び掛けており、夫の実家でストレスをためることになるお嫁さんたちはホッとしていると聞く。秋夕を無事乗り越えれば、街の様子はだいぶ落ち着くはずだ。中秋の名月を眺めて、皆でひと休みしたいものだ。(しみず・ひろゆき=ライター、いけだ・あさこ=書家、金沢市出身)

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