本文へ移動

渋野日向子らのバッグを担ぐ予定だった門田実キャディー「みんな切迫…宅配バイトの情報交換も」

2020年4月23日 10時46分

このエントリーをはてなブックマークに追加
資生堂アネッサレディス最終日、渋野日向子とボールの行方を確認する門田実キャディー=2019年7月7日=戸塚CCで

資生堂アネッサレディス最終日、渋野日向子とボールの行方を確認する門田実キャディー=2019年7月7日=戸塚CCで

  • 資生堂アネッサレディス最終日、渋野日向子とボールの行方を確認する門田実キャディー=2019年7月7日=戸塚CCで
  • 渋野の優勝に涙する門田キャディー
国内女子プロゴルフツアーは3月第1週に予定されていた開幕戦から、すでに13試合連続の中止が発表され、依然トーナメント開催のメドが立たない。選手たち以上に深刻な状況に陥っている職業がツアーキャディーだ。2005年から15年にわたり数々の女子プロをサポートしてきた門田実キャディー(50)に近況を聞いた。

「最悪の事態考え…支出も減らしていかないと」

 今季は開幕から渋野日向子、臼井麗香、松森彩夏のバッグを担ぐ予定だったという門田さん。現在は基本的に千葉県九十九里町の自宅で「引きこもっています」という。
 「ちょっと前までは千葉県内のゴルフ場でキャディーのアルバイトをしたりしていたんですが、緊急事態宣言が出てからはそれも(募集が)なくなって。今は最低限の買い物に出かけるのと、多少自分のゴルフの練習をして、体がなまらないようにしているぐらいです。家の周りは草むしりもすっかり終わっちゃって、だんだんきれいになってますよ」
 房総海岸付近の様子を聞くと「千葉といってもはずれのほうですから、平日はまだ町も穏やかです。でも先週の土日なんかは海岸は家族連れで普段以上ににぎわっていた感じでしたね。すれ違う車も東京などの他府県ナンバーだらけでした」
 同業のツアーキャディーたちとは日々連絡を取っているという。
 「SNSでグループを作って情報交換、共有をしています。どこそこでキャディー探しているよとか、ゴルフに関係のない、たとえば宅配便業者のアルバイト募集が出てるよとか。まあ、みんな切迫していますよ」
 関東のトーナメント会場となるゴルフ場で新型コロナ感染が出たり、毎週のように先々の大会中止が発表される状況だけに「最悪を考えて、年内は男女とも試合ができないまま終わるぐらいのシミュレーションをしておかないと、と思っています。収入を得る方法はもちろんですが、支出のほうも減らしていかないといけない」と話す。
 一方で、プロキャディーとしていつツアーが始まってもいいように、選手たちとの連絡も欠かさない。
 「臼井さんは栃木県の実家で引きこもってるって言ってましたよ(笑)。男子プロやキャディー仲間とリモート飲み会みたいなこともしてますが、そのたびに『あー、リアルでワイワイやりたい!』って思いますね」

 タッグを組んだ選手の成績いかんで収入のアップダウンも激しい職業。覚悟も我慢も高いレベルのスキルを持っている彼らだが、不安もストレスも膨らんでいる。
 ▼門田実(かどた・みのる) 1970(昭和45)年1月15日生まれ、名古屋市出身の50歳。愛工大名電高時代からゴルフをはじめ、愛工大中退後の2005年からツアーキャディーの道に。かたわらで競技出場も継続、16年関東倶楽部対抗予選メダリスト(個人1位)などの成績も。国内女子ツアーを中心に多数選手とタッグを組み、不動裕理、福嶋晃子、渋野日向子、ささきしょうこ、ニッキー・キャンベルと通算5勝。
 ▼ツアーキャディーの報酬 国内女子ツアーの場合、特定のトップ選手と年間の専属契約を結んでいるキャディーを除くと、基本給の相場は「1週間10万円」程度。トーナメント本戦の3、4日だけでなく、練習日とプロアマ戦での業務も含んだ金額だ。大会の開催地がどこかにかかわらず(個々の交渉による変動はあるらしいが)、この中に宿泊&交通費などの経費も含まれる場合がほとんどだという。この基本給に、たとえば「予選を通過すれば獲得賞金の5パーセント」「トップ10内に入れば7パーセント」「トップ3なら8パーセント」「優勝は10パーセント」と歩合給が付くシステムが多く採用されている。遠隔地で飛行機代などが高額となる場合は、予選落ちなら大赤字というリスクもあり、逆にタッグを組んだ選手が次々に高額賞金大会で好成績を収めれば、1カ月で何百万円も稼ぐことができる。

号泣の奥に秘めた亡き妻への感謝【記者メモ】

 昨年7月の資生堂アネッサレディスで、優勝した渋野日向子より先に号泣したキャディー。それが門田さんだ。悪天候の中、プレーオフに持ち込んでの大逆転Vだっただけに感動的ではあったが「なんでキャディーがあそこまで泣くの?」と疑問を抱いたギャラリーも多かったはず。
 実は昨年1月に突然、最愛の妻・和枝さんを亡くしていた。直後は昨季開幕から約束していた仕事をすべてキャンセル、何も手に付かない状態だったという。ようやく立ち直り、ツアーキャディー職への復帰を決意したのは3月。そこへ、まだどの試合に出られるかもわからなかった渋野との数試合のタッグ話が出来上がった。
 「だから渋野さんのバッグを担げてこんな瞬間(優勝)に立ち会えたのは妻のおかげ。妻が作ってくれた縁なんです」という思いが、ベテランキャディーの顔を涙でぐしゃぐしゃにさせたのだ。
 全英制覇から凱旋帰国初戦の北海道meijiカップでは、体調を崩した渋野にホカホカごはんと豚汁を届け、窮地を乗り切る陰のサポートも光った門田キャディー。一日も早くツアー会場で再会したいものです。(月橋文美)

関連キーワード

おすすめ情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ