サクラパックス(富山市) 段ボール 魔法の素材

2020年9月24日 05時00分 (9月24日 10時08分更新)
医療現場の飛沫感染防止に役立つ「セーフティ・キューブ」(サクラパックス提供)

医療現場の飛沫感染防止に役立つ「セーフティ・キューブ」(サクラパックス提供)

  • 医療現場の飛沫感染防止に役立つ「セーフティ・キューブ」(サクラパックス提供)
  • 熊本城の組み立てキットを手に、「困っている人を笑顔にしたい」と語る橋本淳社長=富山市で
  • 最重点目標

◇包装資材メーカー


 段ボールなどの包装資材メーカーのサクラパックス(富山市)は「困っている人を笑顔にしよう」との理念の下、本業を通じて環境への配慮や防災、被災地の復興に協力してきた。最近では新型コロナウイルスと闘う医療現場の支援にも取り組んでいる。
 包装資材のニーズは、形状や強度、内容物の情報漏えい防止と幅広い。構造設計を最大の強みに、充実した評価試験の設備も駆使してニーズに応えるだけでない。
 「環境に一番良いのは包むモノをなくすこと。ゼロというわけにはいかないが、できるだけ材料を使わないようにしている」と橋本淳(あつし)社長(49)。コストや環境負荷の低減も意識した設計はSDGsの目標(9)「産業と技術革新の基盤をつくろう」と合致する。
 リサイクル率が約90%とされる段ボール自体が環境にやさしい素材だが、同社では包装に使った段ボールを別の用途で再利用する「アップサイクル」の普及啓発にも力を入れる。ブックカバーや名刺入れなどを作るワークショップを社内外で開催。各地の防災イベントでは、参加者が間仕切りなど避難所の必需品を段ボールで作るセミナーを開いた。
 この活動の背景には、東日本大震災で日本青年会議所の副会頭として被災地支援を指揮した橋本社長自身の経験がある。靴箱や間仕切り、ベッドといった避難所で必要なものを段ボールで手軽に作れることから、支援先の関係者に「魔法の素材だ」と言われたことが胸に響いたという。
 二〇一七年には、前年の熊本地震で被害を受けた熊本城の再建を応援するため、段ボールで熊本城のミニチュアを組み立てるキットを発売。これまでに約二万個分、計四千万円の売り上げ全額を寄付した。
 現在は今年七月に熊本を中心に被害が発生した豪雨災害の支援に目的を切り替え、販売を続ける。防災の取り組みとともにSDGsの目標(11)「住み続けられるまちづくりを」に通じる。
 コロナ禍では「何とか病院の助けになりたい」との思いから、医師らを飛沫(ひまつ)感染から守るために患者の頭部を覆う段ボール製の使い捨てカバー「セーフティ・キューブ」を富山大病院と共同で開発。富山県内の医療機関に無償提供し、九月からは自社サイトでの販売も始めた。橋本社長は「目の前の人を笑顔にする活動に集中することが、ゆくゆくはSDGsの目標達成につながっていく」と信じている。 (中平雄大)

【メモ】SDGs=「誰一人取り残さない」という考え方のもと、人種や性別、地域などを超えて地球上のみんながそろって幸せになることを目指す国連の目標。「貧困をなくそう」「すべての人に健康と福祉を」「人や国の不平等をなくそう」など17のテーマ別の目標がある。SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略。

【会社メモ】1947年、興国人絹パルプ(現・興人)の富山加工所として板紙類の加工販売を始める。49年に桜橋紙工業へと社名変更し、52年に段ボール製造を開始。90年に現社名に変更する。富山県射水市と石川県白山市、新潟市に工場がある。従業員は315人。本社は富山市高木。


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