疲弊した米国映し出す 映画「行き止まりの世界に生まれて」
2020年9月24日 05時00分 (9月24日 05時00分更新)
米国五大湖周辺の「ラストベルト」と呼ばれる地域で、ビン・リュー監督が自身と友人の十二年間を追ったドキュメンタリー映画「行き止まりの世界に生まれて」が二十五日、名古屋・伏見ミリオン座で公開される。若者三人が直面する親子や男女、人種といったあらゆる分断は、疲弊した米国そのものに見える。
「さびついた工業地帯」の意味を持つラストベルトでは、かつて重工業が栄えたが、産業構造の変化などで衰退。その一角をなすイリノイ州ロックフォードに暮らしていたリュー監督は、映像制作に携わる前からスケートボード仲間を撮影してきた。「スケボーのグループには良いカメラを持っている人がよくいて、リスペクトされる。仲間内でいい気分になれるから」と言う通り、あくまで私的な記録映像だった。
作品を手掛けるようになり、貧困や暴力といった問題を抱え、スケボーをよりどころにしている若者を題材にしようと思った。カリスマ性のあるキアー、父親になろうとしているザックを撮影対象に絞り、改めて彼らの生きざま、葛藤を掘り下げた。その過程で、自身も登場人物に加わる必要性を感じたという。「自分の経験があるからこそ彼らに踏み込みたいのだ、と人々に...
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