小杉織物(丸岡) 進化支えた一念 「従業員の仕事確保し生き残り」  

2020年9月23日 05時00分 (9月23日 09時32分更新)
第1号のマスク(手前中央右)をはじめ、藤井棋聖が着用して話題を呼んだマスク(同左)など、多彩な小杉織物のマスク=いずれも坂井市丸岡町の小杉織物で(蓮覚寺宏絵撮影)

第1号のマスク(手前中央右)をはじめ、藤井棋聖が着用して話題を呼んだマスク(同左)など、多彩な小杉織物のマスク=いずれも坂井市丸岡町の小杉織物で(蓮覚寺宏絵撮影)

  • 第1号のマスク(手前中央右)をはじめ、藤井棋聖が着用して話題を呼んだマスク(同左)など、多彩な小杉織物のマスク=いずれも坂井市丸岡町の小杉織物で(蓮覚寺宏絵撮影)
  • 季節やニーズに合わせたマスクを考案する小杉社長

 有数マスクメーカーに

 新型コロナウイルスの流行で注文が激減した浴衣帯の代わりにマスクを作り始めた坂井市丸岡町の小杉織物が、四月から半年で約七百五十種類、累計九十万枚を生産する有数のマスクメーカーになった。短期間で変化を遂げた原動力は「従業員らの仕事を確保し、事業を続けたい」という社長の一心だ。 (渡部圭)
 同社は浴衣帯のトップメーカーだが、花火大会や祭りなどのイベントが軒並み中止か延期となり需要が低下。外国人客の落ち込みが追い打ちをかけ、和装業界は大打撃を受けた。
 二月、三月と状況が悪化し、社長の小杉秀則さん(63)は休業や従業員の解雇も考えた。だがマスク不足のニュースを聞いてその製造を思いつき、生地や耳ゴムの素材など全て帯の材料を転用し、四月初めに絹製マスクを商品化。洗って繰り返し使え、肌荒れもしにくいことが評判となった。
 生地を薄くした夏用のほか、帯の柄を取り入れたり、麻生地を縫い付たりした商品も次々と作った。だが徐々に売り上げは下降。七月半ばには二週間分の仕事しかなくなり、再び休業の危機に陥った。
 それを救ったのが将棋の藤井聡太二冠。同月十六日に棋聖戦を制した際、同社の夏用マスクを着けていたことが全国的な話題となり、V字回復した。小杉さんは「大事な場でうちの製品を使ってもらえたのがうれしかった」。夏用マスクは二十五万枚のヒット商品となっている。デザインから製造まで自社で行い、大手企業の大量注文にも、学校や団体のオリジナルデザインの少量注文にも応じる。東京のアパレル会社と立ち上げたデザインブランドには芸能人も加わり、約四百五十種を展開している。
 「毎日が針のむしろ。生き残らなければならないプレッシャーを常に感じる」と小杉さん。毎朝四時に起きて商品開発に頭を悩ませる。秋用に出したのは生地の織り方を高密度にして肌触りを良くし、呼吸もしやすくした「肌がよろこぶ絹マスク」。さらにレース柄、ネコやハロウィーンのイラスト入りなどアイデアを出し続ける。
 小杉さんは、帯製造が数年は戻らないだろうと予測。「仕事があることがいかにありがたいか。皮肉なことに嫌というほどコロナに教えられた」と語る。
 注文は通販サイト(「小杉織物 イトカラ」で検索)で。(問)同社=0776(66)0255

関連キーワード

PR情報