中日春秋

2020年9月22日 05時00分 (9月22日 05時00分更新)
 「ゼンメルワイス反射」とは常識や通説とは異なる現象を見てもなかなか信じたがらぬ人間の傾向のことで手洗いが衛生予防になると説いた十九世紀のハンガリー医師ゼンメルワイスの名に由来する。当時、その主張は否定され、物笑いのタネにされた
▼ガリレオの地動説もダーウィンの進化論も当初は受け入れられなかった。こういうことは科学ばかりではない。そのゴルファーの異名はありがたくない「マッド・サイエンティスト」(狂った科学者)。ゴルフの全米オープンを制したデシャンボー選手である
▼子どもの時から数学が得意で、ゴルフの常識を疑った研究を続けてきた。たとえばアイアン。すべてのアイアンを六番アイアンと同じ長さにする。ファンならいかに奇妙なことかお分かりだろう
▼最近は肉体改造である。ステーキとプロテインで短期間に体重を増やし、現在は約一一〇キロ。ドライバーの飛距離を伸ばすため重量挙げの選手のような体をつくり上げた
▼ゴルフは飛距離ではなくコントロールの正確さというのが常識。力任せのゴルフは難コースでは通用しまいとみられていたが、それを覆しての圧勝である。四日間で、ティーショットがフェアウエーを捉えたのは半分程度。それでも力による攻撃的な戦略が成功した
▼信じたくないがゴルフが変わろうとしている。そしてその異名から「マッド」が消えた。

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