森まゆみ 作家・地域雑誌「谷根千」を長年編集

2020年9月18日 16時00分 (9月18日 16時00分更新) 会員限定

写真・市川和宏

土地に根差せば物差しができる

 新型コロナウイルスによって移動が制限されたことで、自分たちが暮らす地域を見つめ直す契機にもなった。東京都文京区と台東区にまたがる谷中・根津・千駄木の「谷根千」と呼ばれる地域も一時は観光客が減ったが、今は下町風情が残る商店街ににぎわいが戻りつつある。二十五年にわたって地域雑誌を編集し、町の歴史や住民の暮らしを記録してきた作家の森まゆみさんに地域で豊かに暮らす心構えを聞いた。 (木谷孝洋)
 新型コロナウイルスの影響で遠出しづらい日々が続いています。私も谷根千地区に住んでいますが、街を散策するだけで楽しく、救われた気がします。
 それは何人かの人に言われました。「地域を旅する」は、私が四十年も前から言い続けてきたことです。「谷根千」をつくっていた当時、私たちはお金もなく、子育てで地域に縛り付けられてどこにも行けなかった。でも、地域を掘ることでよほど良い旅をしていたという気がします。
 この地域に魅力や面白さがあるのは自然にそうなったのではなくて、住民たちの長年の努力があるから。もし町並みや小さなお店、職人の仕事を残そうという住民の取り組みがなければ、とっくの昔に巨大...

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