【石川】医療者癒やす再出発 コロナ倒産 金沢俱楽部元社員

2020年9月18日 05時00分 (9月18日 10時08分更新)
歯愛メディカルに入社した金沢俱楽部元社員の山本澄穂さん(左から2人目)、中山友美さん(右端)ら=石川県白山市で

歯愛メディカルに入社した金沢俱楽部元社員の山本澄穂さん(左から2人目)、中山友美さん(右端)ら=石川県白山市で

  • 歯愛メディカルに入社した金沢俱楽部元社員の山本澄穂さん(左から2人目)、中山友美さん(右端)ら=石川県白山市で
  • 「かがやき メディカルオーナーズ」の創刊号

◇業界関係者向けフリー誌創刊


 新型コロナウイルス感染拡大のあおりで今年四月に経営破綻した出版社の金沢俱楽部(金沢市)の元社員が、歯科用品通販の「歯愛(しいあい)メディカル」(石川県白山市)に入社し、医療関係者向けのフリーマガジンを創刊した。「医療系の方だけでなく、その周りにいる家族の琴線にも触れる雑誌にしたい」とグルメや旅といった情報も盛り込んだ。地域情報誌で住民に親しまれた古巣で培った経験を生かし、新たな一歩を踏み出した。(高本容平)

歯愛メディカル入社「家族も含め喜ぶ情報を」


 フリーマガジンは「かがやき メディカルオーナーズ」。九月の創刊号(A4判、オールカラー、二十八ページ)は、金沢市の料理店を紹介する企画「金沢の美味しい噂(うわさ)」や総合リゾート運営会社「星野リゾート」(長野県軽井沢町)の代表インタビューなどを掲載。本来のテーマである医療分野では、生体肝移植の第一人者や、動物の歯科・口腔(こうくう)外科が専門の大学教授を紹介した。
 約十二万部を発行し、取引先の全国の医療機関や動物病院向けに発送。読者からは「学術的な内容の雑誌はたくさん届くが、おいしいものや癒やしの情報が載った雑誌はうれしい」との反響が寄せられたという。
 取材と編集をメインで担当した山本澄穂(すみほ)さん(36)は「コロナ禍で医療従事者が想像以上に癒やしを求めていると感じた」と手応えを語った。
 金沢俱楽部の経営破綻を告げられたのは四月下旬だった。夕方、社長が約五十人の全社員を集め、自ら解雇を伝えた。山本さんは当時、担当していた地域情報誌の入稿作業が終わる一歩手前。「すごく驚いたけど、周りは意外と静かだった。今思えばフリーズ状態だったのかも」
 歯愛メディカルが以前から発行する別の雑誌を金沢俱楽部が編集していた縁もあった。元社員五人が歯愛メディカルに仲間入りし、山本さんと中山友美さん(40)が「かがやき」に関わることになった。
 山本さんは解雇というつらさを味わったが「何かが終わっても、また次が始まる」と前を向く。再就職活動で他業種への転職も考えた中山さんは「自分が携わったものが世に出て、それを見て喜んでくださる読者やクライアント(顧客)がいる。根本的に雑誌が好き」と話す。
 歯愛メディカルの清水清人社長(60)からは「私たちにない視点や能力を持っている」と期待は高い。「かがやき」は、隔月の発行を目指す。山本さんは「仕上がってうれしかった。でもその余韻に浸る間もなく、次号に向けて走りだしている」と編集者魂をのぞかせた。

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