コロナ禍、届かぬ公助 県民の声

2020年9月17日 05時00分 (9月17日 05時03分更新)
 安倍晋三前政権の継承を掲げ、七年八カ月ぶりの首相交代で菅義偉新内閣が十六日、発足した。新型コロナウイルスへの対応や経済対策、原発再稼働の是非など、積み残された課題は少なくない。県民は政治に何を望むのか。コロナの影響を受ける医療関係者や大学生らに聞いた。

◆地域医療 ずっと緊張

 「コロナと戦う医療機関はずっと緊張状態にある。一刻も早く収束させてほしい」。県西部重点医療機関として感染者の治療に当たる中東遠総合医療センター(掛川市)の石野敏也経営戦略監(56)が力を込めた。
 コロナ患者を受け入れる病院は入院患者らが減り、厳しい経営を余儀なくされている。「地域医療を担う役割もある。何らかの支援を求めたい」と話す。
 コロナで受けるダメージは社会的弱者ほど大きい。浜松市北区の助産師高洲昌子さん(53)は「雇用や生活面で影響を受けやすいのは、ひとり親などの要支援家庭だ」と指摘。新首相には「子育て支援と母子保健分野は異なり、対応に温度差を感じることがある。困っている人への支援が確実に届くよう、小さな声にも耳を傾けて」と求めた。
 コロナは未知の面が多く人々の不安を高めたが、分かってきたことも少なくない。浜松市東区の歯科医師神沢光朗さん(62)は「治療法は進歩したのか、初期と比べて重症化率や致死率に変化があったのか、国民にはこうした情報があいまいなまま。コロナに関する情報をもっと積極的に知らせてほしい」と要望する。
 小中高校が通常授業に戻る中、オンライン授業が続く大学もある。県立大二年の田村虹花(ななか)さん(19)=静岡市駿河区=は、観光支援事業「Go To トラベル」について「学生が学校に行けない状況なのに、安く旅行に行けると推奨していいのか」と疑問を呈する。「観光以外にも、苦境に立たされるさまざまな人に目を向けてほしい」と訴えた。

◆疲弊する経済 就職難

 今春から就職戦線も一気に悪化した。来春卒業する先輩たちの苦境を聞く静岡文芸大三年の亀田佳那さん(21)=浜松市中区=は「就職浪人をする人も増えるだろうし、新卒は対策面で不利になる。国も企業に働き掛けるなど一層の雇用対策を」と注文した。
 前政権は外国人労働者の受け入れ拡大を推進した。非正規で働く日系三世のブラジル人、松尾マイケルさん(46)=浜松市中区=はコロナ禍で雇い止めに遭い、現在は契約社員とアルバイトの掛け持ちをする。「雇用の調整弁として安易に扱わず、外国人でも安定して暮らせる社会を」と望む。
 中部電力浜岡原発(御前崎市)は全面停止から九年が過ぎた。原発近くで作業員ら向けに民宿を家族で営む竹田哲矢さん(37)は「経済とコロナの対策を同時にやってほしい」と望む。
 防潮堤などの安全対策工事が一段落し、作業員の利用が減ったところにコロナ禍が追い打ちをかけた。宿泊客は三十五年ほど前の創業以来の少なさで「Go To トラベル」の恩恵は十件。「コロナ前のような日常の生活を取り戻してほしい。起業する人への支援を手厚くするのもいい」と考える。

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