ゲーム感覚で関係深める 「週1回、10分」学校適応促すグループ活動

2020年9月17日 05時00分 (9月17日 05時00分更新)
笑顔で話し合う生徒ら=愛知県あま市の七宝中学校で

笑顔で話し合う生徒ら=愛知県あま市の七宝中学校で

  • 笑顔で話し合う生徒ら=愛知県あま市の七宝中学校で
 週一回、十分間のグループ活動を通して「学校への適応」を促す「○○タイム」と呼ぶ取り組みが、東海地方の小中学校で広がりつつある。新学習指導要領が重視する「対話的な学び」の土台づくりとしても期待される。コロナ禍による休校が進学、進級の時期と重なった今年は特に、学校になじめていない児童生徒の後押しになりそうだ。 (北村希)
 「お願いしまーす」。愛知県あま市の七宝中学校三年の教室で、「しっぴータイム」が始まると、生徒から一斉に笑みがこぼれた。毎週月曜の給食後の十分間。男女混合の三〜四人がグループになり、ゲーム感覚で「今日の朝ご飯」「好きな動物」などのお題に順番に答え、互いに深掘りしていく。「アドジャン」=図=と呼ぶプログラムで、全学年で取り組んでいる。
 ただ楽しむだけではない。ルールが四つある。「あいさつをする」「うなずいて聴く」「見渡して話す」「指示を聴く」だ。終了後は毎回、四つを意識できたかなどを振り返りシートに記入する。
 この意識は授業中にも生きる。三年の成田真緒さんは「発言する時、みんなが自然に顔を見てうなずいて聞いてくれるのがうれしい」と話す。
 こうした活動は学校ごとに「○○タイム」と呼び方が異なる。七宝中は五年前、県内の中学校への視察で知り、導入した。当時は学校全体に落ち着きがなかったという。梶浦寿男校長は「活動を続け、生徒は周りから認められているという意識が高まっていると思う。全体の雰囲気が良くなった」と成果を語る。
 二年前からは校区内の二つの小学校でも実施しているため、中学入学時に共通の活動を通して関係づくりができ、環境の変化に戸惑う「中一ギャップ」緩和にもつながる。一年の大内海心(かいしん)君は「知らない子とも気軽に話すきっかけになった」。初めは活動に後ろ向きな子も、周りの友達に促されて参加するようになるという。
 この活動を提唱するのは、元特別支援学校教諭で名城大の曽山和彦教授。人付き合いの技術と自己肯定感を育むことが、学校に適応する鍵と考え、先行研究と組み合わせながら、十年前に「○○タイム」のプログラムを作った。中身は「アドジャン」「二者択一」など五種類以上ある。現在、東海地方の小中学校を中心に三十校以上で活動を支援している。
 シンプルで短時間にゲーム感覚ででき、生徒と教員への負担が少ないのがポイント。教員は特別な準備が要らない上、全校共通の活動のため、人が入れ替わっても続けられる。
 曽山教授は「対話的な学びは、人の話をきちんと聞くなどの土台がなければできない。最低限のルールの下、人付き合いの技術を身に付けてほしい」と説く。昔と比べて地域や高齢者との触れ合いが薄れている中、「学校での他人との関わり合いの時間が大事だ」と強調している。

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