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リニア 残土の最終処分場検討 大井川沿いに

2020年9月16日 05時00分 (12月22日 17時23分更新)
 リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事を巡り、JR東海は重金属を含んだ残土の最終処分場を、大井川沿いの「藤島沢」に整備する検討を始めた。県は土砂災害などに伴い重金属が大井川に流出することを懸念し、流域外で処分するよう求めている。国土交通省の有識者会議で今後、是非や対策が議論される見通しだ。
 岐阜県内のリニア工事現場では、自然由来とみられるヒ素やフッ素などが環境基準を超える数値で検出されており、同県御嵩町は「遮水シートをかぶせるJRの環境保全策は不十分」として、町内での最終処分を拒否している。
 南ア・トンネル工事でヒ素やカドミウムなどの重金属を含んだ「要対策土」が発生するかは現時点で分かっていない。JRは要対策土が発生した場合、十万立方メートルを上限に藤島沢で処分することを検討している。御嵩町と同じく遮水シートで周囲を包み、土をかぶせるなどの防止策を講じる。
 藤島沢はJRが計三カ所整備するヤード(作業基地)の一つ、椹島(さわらじま)から南に約五キロで、大井川の西岸に位置する。大井川の水は流域七市、六十万人の上水道に利用している。
 本紙の取材に、県くらし・環境部の田島章次理事は「南アルプスでは土砂災害が多い。万が一でも水質に悪影響を与えることは受け入れられない」と語り、流域外での整備を求める。
 JR東海の金子慎社長は九日の定例会見で「(トンネルの)坑口から近く、交通の便がいい所で見つかればありがたい」と述べ、経済性を優先して、残土置き場を整備する考えを示している。
 JRは、通常の残土三百六十万立方メートルは、椹島の北へ約五キロ、大井川東岸の「燕沢(つばくろさわ)」に高さ六十メートルまで積み上げる計画。専門家は過去に複数回、周辺で大規模な岩屑雪崩が発生した可能性を指摘し、災害が懸念される。県や国交省の有識者会議は流量減少問題を優先し、残土の議論は進んでいない。 (牧野新)

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