【石川】老舗復活 味な二人三脚 13年前閉店 小松の和菓子店

2020年9月12日 05時00分 (9月12日 09時59分更新)
豆大福などの和菓子製造を再開させた中川修一さん(右)と長池正さん=石川県小松市で

豆大福などの和菓子製造を再開させた中川修一さん(右)と長池正さん=石川県小松市で

  • 豆大福などの和菓子製造を再開させた中川修一さん(右)と長池正さん=石川県小松市で
  • 中川修一さんが作った和菓子を店頭に並べ始めたせんべい店の長池彩華堂=石川県小松市で

後押しせんべい店と移動販売


 石川県小松市で十三年前に閉店した大正時代創業の和菓子店「ふたば本店」三代目の中川修一さん(51)が菓子作りを再開し、販売にこぎ着けた。一時はあきらめた菓子職人の道だが、親交のあったせんべい店店主の長池正さん(52)が手を差し伸べた。折しも新型コロナウイルス禍と重なり、せんべいの売れ行きも厳しい。移動販売で苦境を乗り切ろうと、二人三脚で奮闘している。(長屋文太)
 甘いせんべいの香りが立ち込める同市今江町の「長池彩華堂」の工場。その奥に小豆を煮る新品の大鍋、蒸し器、餅つき機などが並ぶ中川さん専用の作業場がある。「あんこ作りが和菓子屋の命」。小豆は北海道産の最高級品を使う。久しぶりの現場復帰だが「体が覚えていた」と笑みが浮かぶ。
 ふたば本店は一九二二(大正十一)年創業。同市本折町の本光寺横にあった。初代の中川さんの祖父は、京都の老舗和菓子店で修業し、のれん分けで地元・小松で創業した。やわらかい餅とあんのバランスが絶妙な豆大福が人気だった。
 中川さんは店を継ぐため大阪の製菓学校を卒業後、修業しながら店を手伝った。ところが、父の代に移っていた二〇〇七(平成十九)年に閉店。中川さんは「体の一部がなくなったような喪失感だった」と当時を振り返る。
 ごみ収集の仕事に就き、二人の娘を育てた。二人は成人し、二年前には父が他界。人生の区切りが一つ付くたび、「店を復活させたい」との思いが募った。
 昨夏、親交があった長池さんに相談した。実は長池さんは、ふたば本店の豆大福が大の好物だった。「場所と店はある。一緒にやろう」と背中を押してくれた。半年かけて計画を進め、工場は五月に改装。六月中旬には氷室まんじゅうを最初に作り、次に名物だった豆大福、酒まんじゅう、どら焼きと次々復活させた。
 「彼の作る上品な和菓子を後世に残したい」と長池さん。昔なじみの客は大喜びで二人は手応えを感じた。ただ、あいにくのコロナ禍。観光地客向けのせんべいも不振で、売り上げは一時、八割も減った。「自ら出向くしかない」。七月中旬、近所の幼稚園や会社向けに和菓子、せんべいの移動販売を始めた。
 「まさかコロナと重なり、こんなに売り上げが下がるとは。ここまで来たら、頑張るしかない」と長池さんが前を向くと、中川さんも「お客さんに喜んでもらうのが一番。創作和菓子を増やしたい」とあんこ作りに精魂を込める。
 二十日まで、各日先着二十人・グループに豆大福一個をプレゼントする。水曜定休。問い合わせは長池彩華堂=電0761(23)0761=へ。

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