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元箱根ランナー、トヨタ安井の夢 パリ五輪マラソンで日の丸背負う

2018年12月19日 02時00分

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将来の飛躍を期して練習を続ける安井雄一=愛知県田原市内で(川越亮太撮影)

将来の飛躍を期して練習を続ける安井雄一=愛知県田原市内で(川越亮太撮影)

 渥美半島から世界のひのき舞台を目指す。愛知県田原市に拠点を置く陸上長距離の強豪・トヨタ自動車に今春入社した安井雄一(23)は長距離界の将来を担う可能性を秘める。早大時代は東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)の5区山登りで活躍し、4年生の時には主将を経験。今月2日の福岡国際マラソンで2時間7分27秒をマークして優勝した服部勇馬(25)ら先輩の背を追いかけ、将来の五輪出場を目指す。
 今は一歩ずつ力を蓄えている。安井は強豪チームの一員として、4月から黙々と練習を続ける。
 「新人なので、とにかく一生懸命することがチームのプラスになると思っています。だから、今は一生懸命、元気よくと思って、練習をしています。元気は自分の持ち味ですし、何より走るのが好きですからね」
 経歴は申し分ない。早大では箱根駅伝で活躍。2年生の時から3年連続で箱根の山を登る5区を走り、2018年大会は区間2位の記録をマークした。しかし、社会人のレベルは大学と比べものにならないほど高い。「戸惑いました。(練習に)いろいろついていけなかったり、挫折があったり、なかなか結果を残せなかったりで」と振り返る。
 しかし、実績のある先輩が身近にいる。服部に加えて、10月のシカゴマラソンで2時間7分57秒をマークした藤本拓(29)、2月の東京マラソンで2時間8分45秒を記録した宮脇千博(27)というマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)への出場権を持つランナーがいる。共に練習しながら、いいところを少しでも盗もうと考えている。
 「いつかは先輩たちのような選手になりたい。そう思ってトヨタに入ったところもありますし。練習の姿を見ているだけで刺激になります。コンディショニングも参考になります。日々勉強中です」
 そんなニューフェースに佐藤敏信監督(56)は「もう少しスピードをつける必要があるけど、これから結果を出していければ」と期待。来年元日の全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)のエントリーから外れたが、将来はマラソンで勝負というプランを立てている。狙うのは、24年のパリ五輪マラソンで日の丸を背負って走ることだ。
 「陸上をやるからには上を目指さないと面白さがないですし。まだ、世界で戦うレベルには全然なっていないので、目の前の練習をしっかりやって、少しずつ力をつけたい」と安井。練習している田原の道が世界に通じていると信じて、走り続ける。 (川越亮太)

<記者こぼれ話>

 取材中は屈託のない笑顔を交えながら、こちらの質問に答えてくれた安井。競技でのこだわりについて聞いてみた。すると、真剣な表情になって言葉をこう返してきた。
 「とにかくケガをしないということですね。練習を継続させるということです。高校の時も大学の時もずっとテーマとしてやってきたので…」
 陸上、特に長距離を走るとなると、疲労骨折などケガがつきものだ。その証拠に、11月18日に行われた中部・北陸実業団対抗駅伝の時に話を聞いた選手の多くからもケガの話が絶えなかった。しかし、安井は語る。
 「これまで大きなケガをしたこともなかったですし。ケガをしないで1年間やるというのが一番大事なことなので。故障せずにできたということは自信にもなりました」

 そういえば、無事之名馬という言葉もある。これまで数々のアスリートを取材してきたが、「名選手」といわれているような選手はみな体が強く、ケガにも強かった。その意味では、安井は長距離陸上界の将来を託す素質を持っているといえるだろう。(川越亮太)

 ▼安井雄一(やすい・ゆういち) 1995(平成7)年5月19日生まれ、千葉県松戸市出身の23歳。170センチ、57キロ。千葉・市船橋高時代は全国高校駅伝への出場はなかった。早大進学後は全日本大学駅伝に3年時と4年時の2度、出雲駅伝には4年時に1度出場した。箱根駅伝は1年生から4年連続で出場、主将を務めた2018年大会は5区を区間2位の1時間12分4秒で走った。1万メートルの自己ベストは29分7秒1。

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