芝寿し(金沢市) コメ冷凍、フードシェアリング参入 

2020年9月10日 05時00分 (9月10日 10時14分更新)
冷凍ずしの一つ、のどぐろの手まりずし(芝寿し提供)

冷凍ずしの一つ、のどぐろの手まりずし(芝寿し提供)

  • 冷凍ずしの一つ、のどぐろの手まりずし(芝寿し提供)
  • 本社工場の排水処理施設を紹介する梶谷真康社長=金沢市で
  • 最重点目標

 食品ロス減 技と理念


 すしを凍らせる。売れ残りそうな商品はインターネットを通じて安く消費者に口にしてもらう。すしや弁当製造の芝寿し(金沢市)の取り組みは、確かな技術と経営理念があってこそ。
 三代目の梶谷真康社長(42)は「食品ロスの問題を解決するのは、食品製造販売業の使命です」と言い切る。コメを冷凍する技術やフードシェアリングサービスへの参入を通じて力を注ぐ食品ロスの削減。SDGsでは、目標(12)「つくる責任、つかう責任」を最も重視する。
 二〇一五年の新工場完成に合わせ、冷凍米飯事業部を創設した。最先端の冷凍設備を活用し、炊飯法の研究を重ねて、常温品と遜色ない味わいを実現した。現在は全国のホテルや結婚式場に納入する。「半年は保存でき、必要な分だけ解凍して使えるのでロスも減らせる」と梶谷社長。製造現場の昼間の稼働率を上げるなど計画的に生産でき、深夜労働を減らすことにもつながるという。
 食品関連会社「コークッキング」(東京)が開発した、売れ残りを減らしたい店と安く買いたい消費者をつなぐアプリ「TABETE(タベテ)」にも、北陸エリアではいち早く参加した。利用者は店側が登録した余りそうな商品の情報を確認でき、アプリ上で購入して店で受け取る。梶谷社長は「それまでは商品価格にして年間五、六千万円分を廃棄していたが、二割ほど減らせた」と効果を語る。
 環境に配慮した設備も積極的に導入している。本社工場の排水処理施設では、微生物を含んだ泥を使って汚水を浄化。さらに、浄化した水をろ過し、微生物が分解し切れなかった残りかすまできれいに取り除いて放流する。
 「工場で多く使う電気をクリーンエネルギーにシフトしていきたい」と、本社工場に太陽光パネルを設置し、八月に稼働した。発電した電力はすべて工場で自家消費する。電気料金の削減だけでなく、日本人なら四十四人ほどが一年間に排出する二酸化炭素(CO2)の削減効果があるという。
 梶谷社長は「企業だけでなく、地域社会も国も永続しなければいけない。日本の老舗企業は三方良し、つまり顧客、会社、地域社会を考えている。それがそもそも、SDGsなんです」と指摘する。元々やっていた冷凍のすしの販売や排水処理に光を当てたSDGs。梶谷社長は「経営者も従業員も企業の社会的責任を捉える良い機会になった。今後やるべきことも分かった」と視線を先へと向けた。 (高本容平)

SDGs 「誰一人取り残さない」という考え方のもと、人種や性別、地域などを超えて地球上のみんながそろって幸せになることを目指す国連の目標。「貧困をなくそう」「すべての人に健康と福祉を」「人や国の不平等をなくそう」など17のテーマ別の目標がある。SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略。

会社メモ 1958(昭和33)年に梶谷社長の祖父忠司氏がすしの製造販売を開始。酢と天然塩でしめたサケやタイなどの切り身をのせたすし飯を、ササでくるんだ押しずし「笹寿し」が代表商品。従業員は約500人。2019年9月期の連結売上高は43億9000万円。本社・工場は金沢市いなほ2。


関連キーワード

PR情報

みんなしあわせSDGsの最新ニュース

記事一覧